北朝鮮を援助したい韓国ムン・ジェイン政権が「朝鮮戦争の終結宣言を出そう」と要求中

 時事通信によりますと、ムン・ジェイン大統領(韓国)の外交ブレーンを務めるムン・ジョンイン特別補佐官が「ひとまず、アメリカは朝鮮戦争の終結宣言を出すべき」と主張しているとのことです。

 「後で撤回可能」などと都合の良いことを述べていますが、北朝鮮への支援を行うための布石であることは明白です。北朝鮮制裁を骨抜きにしようとする動きは大きな問題と言えるでしょう。

 

 韓国の文在寅大統領の外交ブレーンとして知られる文正仁・統一外交安保特別補佐官は3日、ソウル市内でのセミナーで、朝鮮戦争(1950~53年)の終戦宣言構想について、「(一度採択されても)撤回可能だ」という見解を表明、トランプ政権に受け入れを求めた。

 終戦宣言をめぐっては、北朝鮮が「緊張緩和と平和体制に向けた最初の工程だ」と位置付け、早期採択を要求。米国は「宣言は不可逆的な措置であり、非核化に向けた具体的な措置の履行を優先すべきだ」という立場を堅持し、対立している。

 韓国ムン・ジェイン政権が「親北政権」であることを否定する人は少ないでしょう。

 元々、そのような政治的主張を展開してきたからです。そのため、北朝鮮との『平和路線』や『対話路線』を採ることに躍起になっています。

 ただ、現状では「朝鮮戦争は休戦中(=終戦していない)」となっているため、韓国が北朝鮮を支援することはできません。ですから、朝鮮戦争の終結に固執する姿勢が鮮明になっているのです。

 

「韓国が朝鮮戦争の敵国(=北朝鮮)に支援することは不可能」という現実

 世間の目を引くほどの戦闘行為がないため注目されていませんが、現在も朝鮮戦争は続いている状況です。

  • 北朝鮮側:
    • 北朝鮮
    • 中国(= 義勇兵という形で参戦)
  • 国連軍(=韓国側):
    • アメリカ
    • 韓国

 休戦協定は締結されていますが、締結したのは「中朝連合軍」と「韓国を除く国連軍」です。(韓国は当時の李承晩大統領が署名を拒否)

 その後は休戦状態が続いていますが、戦争が終結した訳ではありません。そのため、韓国が(現在も続く朝鮮戦争での敵国である)北朝鮮に支援を送ることは明らかな矛盾が生じることになっているのです。

 

「戦争状態を解消すれば、対北朝鮮支援を正当化できる」と韓国は皮算用している

 北朝鮮は「核兵器や弾道ミサイルの開発」を理由に国連から経済制裁を科されています。また、韓国とは朝鮮戦争で敵対中であるため、韓国から表立った支援を受けることはできません。

 この状況は親北派のムン・ジェイン政権にとっては “歯がゆい” 状況と言えるでしょう。

 ですが、朝鮮戦争を終結させれば、韓国は『平和路線』を理由に、北朝鮮に対する資金援助を行う口実を手にすることになります。具体的には「国連が呼びかけている北朝鮮への人道支援に韓国政府は賛同する」と宣言し、行動を起こせるからです。

 「自分たちが勝手にやったのではない」との弁解理由を国連が既に提供してくれているのですから、「まずは朝鮮戦争の終結宣言を出そう」とアメリカなどを韓国政府の口車に乗せようとしているに過ぎません。

 

北朝鮮を利するために奔走する韓国政府の意向に沿う必要はあるのか

 韓国政府は北朝鮮政府による “食い逃げ外交” を後押ししようとしているのでしょう。

 北朝鮮は「見返りを先に受け取ることを求め、自分たちが責務を実行する段階になると態度を翻意してきた」のです。今回についても、「朝鮮戦争の終結」や「経済制裁の緩和」といった “見返り” を先に受け取り、「核兵器や弾道ミサイル兵器の廃絶」をする前に方針転換を口にすることが予想されます。

 過去に何度も繰り返されてきた北朝鮮の外交方針に新たな成功例を加える意味はありません。

 「自国民を犠牲にしても、核兵器や弾道ミサイルを開発すれば、最終的に経済援助を得られる」という事例を作ることが地域に平和をもらたす行為と言えるのでしょうか。韓国政府(=ムン・ジェイン政権)がやろうとしていることはこういうことなのです。

 少なくとも、ムン・ジェイン政権がやろうとしている外交方針は後押しすら必要のないことと言えるはずです。

 

 北朝鮮が利益を食い逃げするような外交方針は止めなければならない時期に来ていると言えるのではないでしょうか。