『北朝鮮の制裁破りに対する報告書』で疑惑の目を向けられた韓国政府、従北派の人物を統一部長官に指名する
北朝鮮への制裁決議の実施状況を調べる国連安保理の専門家パネルの座長が NHK の取材に応じ、「高級車は制裁決議違反として調査している」と述べています。
贅沢品は “ご禁制” となっているため、「決議違反」と認定されるでしょう。ただ、この報告書には「ムン・ジェイン大統領が “制裁違反のベンツ” でキム・ジョンウン委員長と共に平壌でパレードする写真」が使われているのです。
安保理から「ムン大統領は北朝鮮の仲間」と名指しされたに等しい状況は重いと言えるはずです。
国連安全保障理事会が採択した北朝鮮制裁決議の実施状況を調べる専門家パネルの座長は、米朝首脳会談で北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長が使用したドイツ製高級車は、中国人の武器商人がアメリカで購入したものだと指摘し、決議違反として調査していることを明らかにしました。
安保理の専門家パネルが発表した報告書はウェブ上から確認できます。焦点が当てられている “ドイツ製の高級車” ですが、韓国政府に飛び火するという予想外の展開が起きていると言えるでしょう。
なぜなら、韓国ムン・ジェイン大統領が満面の笑みでパレードに参加する時の様子が報告書の資料として使われているからです。
2018年9月の南北首脳会談で使われたベンツが問題
北朝鮮に高級車を持ち込むことは制裁決議に違反する行為です。キム・ジョンウン委員長が利用しているベンツもそれに該当しており、報告書にも明記されています。
“ナンバープレートが外されたメルセデス・ベンツ” が『制裁違反』の事例として取り上げられているのですが、2018年9月に北朝鮮・平壌で行われたパレードの写真が根拠として使われています。
南北首脳会談で北朝鮮を訪れたムン・ジェイン大統領が “ご禁制” であるはずの高級車にキム・ジョンウン委員長と共に乗り込み、平壌市民に満面の笑顔で手を振っているのです。「制裁決議を堂々と見逃している」と安保理から世界に発信されたのですから、失態と言えるでしょう。
しかも、韓国政府が北朝鮮への制裁を反故にしているのはこれだけではない可能性も浮上しているのです。
「開城(ケソン)工業団地への石油持ち込み」も制裁違反に該当
この報告書で見落とすべきではないのは「韓国政府が開城工業団地に石油を持ち込んだ行為は制裁違反の恐れがある」と明記している部分です。
韓国政府は「共同連絡事務所を設置するため」との理由で約340トンの石油を開城工業団地に持ち込みました。
この行為を韓国政府は「制裁違反にはならない」と主張して来ましたが、報告書には「北朝鮮領土に持ち込まれる石油製品には報告対象」と明記されています。韓国政府は無申告で石油製品を北朝鮮に運び込んでいたのですから、「悪質」と言えるでしょう。
最強硬の従北派を『統一部長官』に指名し、「親北の色合い」を鮮明にするムン・ジェイン政権
制裁違反の疑惑の目を向けられているムン・ジェイン政権ですが、反省するどころか逆ギレに近い反応を示しています。その最たる例がキム・ヨンチョル(金錬鉄)氏を統一部長官に指名したことでしょう。
正式就任には議会の承認が必要なのですが、この人物は従属派の中でも “筋金入り” と言える数々の発言を残しているのです。
今回、統一部の長官に指名された金錬鉄(キム・ヨンチョル)前統一研究院院長は、李在禎長官を上回りそうだ。彼は16年の開城工業団地稼働中止を「自害」と呼び、高高度防衛ミサイル(THAAD)配備を目にして「国が滅んでいくという思いを抱いた」と言っていた
安保理に報告することなく開城工業団地に石油を運び込む政権の統一部長官に「開城工業団地の稼働中止は自害」と公言する人物が就任する見通しなのです。開城工業団地の再稼働を強行することもあり得ると言えるでしょう。
現状は “韓国だけ” が「北朝鮮への制裁緩和」を要求し、動き続けているのです。このような政府の要望を満たす必要はありませんし、韓国に対する制裁も科すことを検討しなければ北朝鮮への制裁は骨抜きにされ続ける問題も認識しなければなりません。
北朝鮮の代弁者と化した韓国政府との関係性を否が応でも見直さなければならない時期に来ていると言えるのではないでしょうか。