発言を都合良く切り取るタブロイド紙の手法を取り入れた朝日新聞
大阪市立茨田北中学校の寺井寿男校長が朝礼の場で発言した内容が不適切だったと朝日新聞の長野佑介記者が書いた記事がちょっとした騒動を巻き起こしています。
該当の要旨は大阪市のホームページ上に掲載されていたのですから、内容を読むことから始めるべきでしょう。発言内容は次のとおりです。
問)上の朝礼講話(要旨)を読み、発言者の主張内容が女性差別的であったどうかを理由とともに論述しなさい。
おそらく論述形式の試験であれば、上記のような問題が出されることでしょう。受験者の読解力を試す問題と位置づけられるのですが、設問者によって解答に “角度が付けられること” があることに注意が必要となります。
ちなみに、朝日新聞による模範解答は長野記者が署名記事で書いたように、「女性差別的な考えであり、けしからん」という立場です。
大阪市立中学校の男性校長が2月29日にあった全校集会で「女性にとって最も大切なのは子どもを2人以上産むこと。仕事でキャリアを積む以上の価値がある。子育てした後に大学で学べばいい」などと発言していたことがわかった。市教育委員会関係者が取材に明らかにした。市教委は不適切発言として懲戒処分を検討している。
朝日新聞は「女性と出産」という問題をタブーにしたいのでしょう。少子化問題に取り組むには、「女性と出産」というテーマは避けては通れません。
特定の問題をタブーにすることは『部落』『同和』『在日』といったメディアの報道自粛に端を発した “利権問題” を生み出す温床になることを黙認していることと同じことです。
「問題を起こせ、そうすれば行政が対応する」と政治部次長が煽る朝日新聞的なやり方ですが、迷惑を被るリスクのある一般人からすれば、到底受け入れられるものではないのです。
では、茨田北中学校の寺井校長が言いたかったことは何なのか。それは、要旨の最後に書かれている “やっぱり結論は、「今しっかり勉強しなさい」ということになります” ということです。
子供を生むことができるのは女性だけであり、その価値がキャリアより上であるかは人それぞれです。
寺井校長の発言が問題視されるなら、「子育てよりもキャリアを重視する女性を侮辱した」場合になりますが、女性に社会進出を強いることは「キャリアよりも子育てを重視する女性を侮辱した」ことと表裏一体であることを忘れてはなりません。
「子育てをした後で大学で学べばいい」と朝日新聞が報じた内容も、発言を都合良く切り取ったものになっています。
- 対象:2人以上の子供を生み、育てた女性
- 提案:希望する国立大学の学部への入学資格を付与
- 学費は無料
- ただし、入学に相応する学力を有しているかの試験は実施
寺井校長は上述の主張があることを紹介し、賛意を明らかにしています。実際に運用するのであれば、日本人女性に限定しなければなりませんが、現実的な女性支援策と言えるでしょう。
「子育てのあと、大学で学び医師や弁護士、学校の先生、看護師などの専門職に就けば良い」と発言しているのです。ここでポイントとなるのは専門職に就くことを推奨している点です。
スペシャリストであれば、年齢や性別といった要素が給与に反映される傾向は低く、本人の能力によって大きく左右されます。もっと直接的な表現をすれば「年功序列による影響の少ない職種」であると言えるでしょう。
特殊性の強い職種であるほど、大学で最先端の学術研究ができることは大きなアドバンテージとなります。
例えば、(物理面で大きな足跡を残した)アインシュタインやニュートンが現代にタイムスリップして来ても、彼らが生涯を通して研究して来たことは高校生が学ぶレベルになっています。しかし、シェイクスピアが現代にタイムスリップして来ても、困ることは何もないでしょう。
それが現実なのです。今しっかり勉強しなければならないのは、茨田北中学校の生徒ではなく、朝日新聞や長野記者なのではないでしょうか。