オーストラリアでタバコ大増税 日本でも1箱1000円にすべきでは?

 オーストラリア政府が現行1箱(25本入)25オーストラリアドルのタバコを2017年から毎年 12.5% ずつ税率を4年間上げ続ける増税予算を盛り込んだと時事通信が報じています。

 現行価格でもかなり高い方に分類されるオーストラリアの厳しい対応に注目する必要があると言えるでしょう。

 

 オーストラリア政府は3日発表した新年度予算案に、2017年から4年間、毎年12.5%ずつ税率を上げる大幅なたばこ増税を盛り込んだ。25本入りの1箱が25豪ドル(約2000円)と、今でも世界屈指の高さだが、20年には40豪ドル(約3200円)になる。愛煙家からは悲鳴が上がっている。

 

 ここまで値段が上昇すると、密輸ビジネスに手を染めるものが出てくることが考えられるため、“水際作戦” に新たな予算を費やす必要性が生じることも念頭に置かなければなりません。

 日本では「タバコの値上げ」と「税収」という観点で語られることが多いのですが、「タバコによる死者」については無視されている現状が強いと言えるでしょう。

 平成24年(2012年)に厚労省のたばこアルコール担当者講習会では「非感染性疾患と傷害による成人死亡の主要な2つの決定因子は喫煙と高血圧」と名指しされているのです。

 

画像:喫煙という危険因子

 喫煙により(2007年は)12万9千人が亡くなったとのデータが提示されています。その割合は悪性新生物(=ガン)、循環器疾患、呼吸器系疾患と続いているのですが、いずれの場合でも医療費の増大を引き起こす要因であることを見逃してはなりません。

 タバコによって毎年10万人以上が命を落としていることになるのですが、それと同時に現代の医療によって命を落とさずに済んだという方々もいるでしょう。

 しかし、たばこ税による年間収入は2兆円台なのです。喫煙者に要した社会保障費が税収額を下回っているとは考えづらい部分があり、喫煙者に対する風当たりが弱まることはないと言えるでしょう。

 

 タバコを “毒性” という観点で考えれば、年間10万人以上を殺していることと言及することができるため、原子力発電所よりも危険な存在となります。

 朝日新聞など反原発派は福井地裁が下した運転差し止め判決を高く評価し、次のような結びを掲載しています。

 公共の福祉には、国民の幸福や健康といった概念も含まれ、「社会全体の利益」と言い換えられることもある。守るべきは「公」だけではない。経済が優先されるあまり、憲法が保障する国民の権利は忘れ去られてはいないだろうか。

 喫煙では副流煙による被害も起きるのです。原発の危険性を訴え続けるのであれば、実際に被害が生じているタバコを禁止するためのアクションを起こすべきなのではないでしょうか。

 (社会保障費の増大など)社会的費用を勘案すると、最低でも1箱1000円以上にして喫煙者による社会保障費増大を少しでも抑制する方向に持っていく必要があると言えるでしょう。