『こども保険』を導入したいなら、「消費税率の引き上げ」か「外国人への生活保護打ち切り+α」で対応すべき

 『こども保険』の導入を訴える自民党・小泉進次郎議員が朝日新聞に対し、導入の意義を語っています。

 「社会保障費の引き上げ」という方向性を示していますが、理解は得られているとは言えません。現状では「現役世帯への負担増」でしかないだけに小泉議員の主張は説得力に欠けると言えるでしょう。

 

1:厚生年金の割合を『こども保険』に振り返るべき

 朝日新聞で紹介されている社会保障費の比率は以下のものです。

画像:給与における社会保障費の比率

 現状で給与の 10% 前後を厚生年金と介護保険で持って行かれているのです。この数字は年々上昇しており、現役世帯への “嫌がらせ” でしかありません。

 給与の 0.1% を上乗せするのであれば、すでに 10% もある「厚生年金+介護保険」の中で対応すべきと言えるでしょう。

 

2:「高齢者のために使う年金負担」を世間が理解していると断言できるのか

 小泉議員は『こども年金』に対し、「こども保険はこどものためにお金を集め、使うという分かりやすさがある。こどもがいない人は負担するだけになるという批判もあるが、将来の年金・医療・介護の質とサービス量を決めるのはこどもの数。無関係な人はいない」と述べています。

 年金は “高齢者の生活のために使っている” という非常に分かりやすい制度ですが、制度の担い手である現役世帯から理解されているでしょうか。答えは明らかにNOです。その理由は負担が重すぎるからです。

 年金・医療・介護の質とサービス量を決めるのは “子供の数” ではなく、“担い手と乗り手のバランス” です。

 サービスを享受する側の数が爆発的に増加し、担い手である現役世帯が社会保障費の負担増で余裕がなくなり、少子化が進んだのです。少子化対策として、現役世帯に『こども保険』という形でさらなる負担を求めようとする時点で「制度をして終わっている」と言えるでしょう。

 

 

3:「全世代で支えあう」なら、消費税で対応しなければならない

 全世代で支えあうことが好ましいと考えているのであれば、消費税率を引き上げた上で「子育て支援」に回すことが筋でしょう。それが王道だからです。

 少子化を止めたいのであれば、現役世帯の負担を軽くすれば良いのです。「高齢者世帯 > 現役世帯」という形で年金・医療と明らかに優遇された現状をヨーロッパのようにシビアな判断体系を導入するだけで国の財政には大きな余裕が生まれることでしょう。

 しかし、さすがの小泉議員であっても「高齢者の切り捨て」と見られる政策を打ち出すことはできないため、結局は負担を現役世帯に押し付けることになると思われます。

 消費税率の引き上げによる成功体験を国民が持たないのは当然です。給与は月1回の支給が一般的ですが、消費税率の引き上げは買い物をするたびに実感するからです。

 家賃、携帯代、光熱費の支払いは月1回ですが、食料品の購入は月10回以上はあるでしょう。働いていると昼食は外食になりがちであり、そうなると、一般的な労働者は毎日1回は消費税の支払いをしている計算になるのです。

 「消費税率アップを上回る “恩恵” を受けている」と感じる有権者が多数派になることの方が不思議と言えるはずです。

 

4:「年金の受け取り辞退」ではなく、「外国人への生活保護の打ち切り」で予算確保すべき

 『こども保険』の予算確保として、「富裕層が年金の受け取りの辞退」をすることで目処を付ける方向性を小泉議員は示しています。

 ですが、この善意に基づく制度設計は社会保障としてあまりに筋が悪すぎます。これほど他人任せで無責任な制度はないと言えるでしょう。

 “年金の受け取りを辞退しても生活に困らない富裕層” が数多くいるのでしょうか。また、辞退後に生活に困った場合に申請すれば、受給可としていれば、制度そのものが無意味であることは明らかです。

 ただ、“大衆受け” は非常に良いものであり、「金持ちの年金辞退」をエサに「サラリーマン世帯の負担増」という方法で支持を集め、立法化に踏み切るものと予想できます。

 『こども保険』に必要は年3400億円としているのですから、外国籍の人物に対する生活保護を打ち切ることで1200億円は確保できます。残りの約2000億円についても “出す必要のない予算” を止めることで捻出は可能と言えるでしょう。

 外国人に対する「高額療養費制度」の使用を制限することも選択肢ですし、軽減税率の適用対象となっている新聞社に『こども保険応援税』という形で税金を科しても良い訳です。

 予算確保という点において、小泉議員を中心とするメンバーは再考する必要があると言えるのではないでしょうか。