国境閉鎖をしたドイツで、メルケルが難民受け入れ策の堅持を明言する

 移民・難民が引き起こす問題が明るみになる中、ドイツのメルケル首相が難民受け入れ政策を変更する考えはないと明言したことをAFP通信が報じています。

 自らの政治的信念に基づいた主張が根幹にあるものだと思われますが、国家元首が最も守るべき対象であるドイツ国民を軽視しているような印象があることも事実と言えるでしょう。

 

 ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は28日、首都ベルリン(Berlin)で記者会見し、国内で凶悪事件が相次ぐ中でも難民受け入れ政策を堅持すると明言した。

 (中略)

 内戦や迫害を逃れてきたシリアなどからの移民・難民を受け入れる姿勢を改めて強調。「私たちにはできると、今も確信している。これは、われわれの歴史的な義務であり、グローバル時代における歴史的な課題だ」とメルケル首相は語った。

 

 メルケル首相の考えを要約すると、次の2点になると言えるでしょう。

  • 助けを必要とする人に手を差し伸べるのは当然である
  • (発生した襲撃事件は)支援の手を差し出そうとする我々の共同体意識、寛容さ、支援意欲を削ごうとするものである

 支援をする動機としては素晴らしいものです。しかし、問題点があることを認識していないと思われることが大きなマイナスポイントです。

 「支援が必要」と訴えた “自称・難民” をほぼ無条件で招き入れていることが襲撃事件などを引き起こす温床になっていると言えるでしょう。

 

 絶対数が増えれば、過激な思想を持った人物もその中に含まれている可能性は高くなります。そうした人物がアルコール、薬物などのドラック、精神障害などで “理性による歯止め” を失い、世間を揺るがす大事件を引き起こすリスクが増えることになるのです。

 ですが、メルケル首相自身がそうしたリスクにさらされる可能性はほぼゼロでしょう。

 国家元首を務めた政治家には生涯に渡り、24時間365日、身辺警護が付くことになるからです。また、講演などで定期的に安定した収入が約束されているのですから、リスクを伴う仕事をしなければならない状況に陥ることもないでしょう。

 「ドイツの価値観を尊重し、ドイツ社会に適応するために努力をする人が助けを求めており、支援の手を差し伸べるのは当然だ」と主張すれば、多くの国民が理解を示すでしょう。イスラムの価値観を尊重し、ドイツ国内でイスラム社会を作りたいと考える人にまでドイツが支援の手を差し伸べる理由が見出せないことが反発を招く要因になっていると言えるのではないでしょうか。

 

 “受け入れ” の素晴らしさを語るより、“受け入れ後” に享受することが見込める恩恵を具体的に語ることができなければ、支援の輪が広がることはないでしょう。

 戦火から逃れた苦労話に共感することは国内に受け入れなくでの十分に可能なことです。特にインターネットなどを利用することで、現地からダイレクトに意見を拾い上げることができることを見落としてはなりません。

 「受け入れた後、どうするのか」が難民問題の本題です。安易に「難民歓迎」と叫び、受け入れた後の責任を取らない自称・人権派の活動に賛意を示すと、不幸になるのは受け入れ国の国民であることを覚えておいて損はないと言えるのではないでしょうか。