健康不安説が現実味を帯びたクリントン候補は逃げ切れそうか

 アメリカ同時多発テロ事件の追悼式典の最中に体調不良を訴えて倒れたクリントン候補に対する健康不安説が現実味を帯びています。

 9日に主治医から肺炎と診断されたいたことを発表しましたが、もし11日にクリントン候補が体調不良を訴えていなければ、このニュースは隠されたままになっていたでしょう。トランプ陣営(共和党)から追求が行われるのは避けられないと思われます。

 

 アメリカ大統領選挙の民主党のクリントン候補が体調不良を訴えたことについて、共和党のトランプ候補は「健康問題は選挙戦の争点だ」と述べ、クリントン氏の健康状態が大統領にふさわしいか追及を強める構えで、今後、選挙戦に影響を与えるのか注目されています。

 

 NHKが報じているように大統領選はここからが本番です。肝心のテレビ討論会で直接対決が行われる際に、クリントン候補がトランプ候補からの追求をどう払拭できるかが鍵となるでしょう。

 アメリカ大統領選は全米規模での支持率はそれほど重要ではありません。なぜなら、勝敗の分かれ目となるのは激戦州(スイングステート)での出来だからです。

 Real Clear Politics がまとめた9月7日時点における激戦州での支持率は下表のとおりです。

表1:2016年アメリカ大統領選、激戦州での支持率
  クリントン
(民主党)
トランプ
(共和党)
オハイオ州
(選挙人:18人)
42.3 40.5
ペンシルバニア州
(選挙人:13人)
45.6 39.8
フロリダ州
(選挙人:29人)
44.2 44.3

 

 フロリダ州はトランプ候補が僅差でリードしていますが、オハイオ州ではヒラリー候補がリード。ペンシルバニア州ではヒラリー候補が大きくリードを保っています。

 現状ではヒラリー・クリントン氏が女性初のアメリカ大統領となるでしょう。これが11日に表面化した “健康不安” や、テレビ討論会での内容によって、支持率がどのように変化が生じるかが注目点です。

 「トランプより、(数々の疑惑を抱える)ヒラリーの方がマシ」という有権者をトランプ陣営が自陣側に取り込む手段を持ち合わせているかがすべてでしょう。

 ポピュリズム(=大衆迎合)をすれば、熱狂度が高まっているように映りますが、消去法的に相手候補を支持している有権者を切り崩すことはできません。つまり、トランプ氏の出方次第で戦況が大きく変わることも予想されます。

 

 激戦州でのクリントン、トランプ両候補の支持率が今後どのように変化するのか。投票日当日まで目が離せない状況が続きそうです。