米大統領選のテレビ討論会が開始、非難の応酬が本格化するのはこれから
アメリカ大統領選挙に向けたテレビ討論会がいよいよ始まりました。非難の応酬にもなった討論会とNHKでは伝えていますが、より過激な発言などが出てくるのは次回以降となるでしょう。
アメリカ大統領選挙に向けた初めてのテレビ討論会が行われ、民主党のクリントン候補と共和党のトランプ候補が、過激派組織IS=イスラミックステートへの対策や日本をはじめとする同盟国の防衛などをめぐって激しい論戦を繰り広げ、非難の応酬となりました。
クリントン、トランプの両候補ですが、今回の討論会ではそれほど目新しい発言もなく、“様子見” で終わった状況です。
両候補が批判にされされていたことを対立候補がテレビ討論会の場で言及し、追求された候補は前々からメディアなどに説明した内容を改めて言及する。そのため、今回の討論会でどちらの候補が勝者だったかは誤差の範囲と言えるでしょう。
CNNは「クリントン優位」と報じましたが、そもそもCNNはリベラルで民主党の候補であるクリントンに近い立場です。
アメリカでは報道各社が自社の政治スタンスを明確にしていることが一般的であることに留意が必要です。そのため、CNNだと「リベラルの視点からはクリントンが優勢と見た有権者が多い」という意味で捉える必要があります。
その点は抜きにしても、トランプ氏からの挑発を受け流し、「大統領としての資質を有していること」をアピールすることに重点を置いた戦術は機能したと言えるでしょう。
「クリントン、リード」の状況で1回目の討論会を迎えたのです。リードを広げられたかは疑問ですが、トランプ氏に逆転を許すような討論会での出来ではなかったはずです。最悪でも、クリントンが「自身の持つリードを少し縮められたぐらい」で終えたと思われるのですから、トランプ氏が逆転するチャンスが1つ消えたと見るべきです。
TPP関連では両候補ともに否定的な見解を持っています。これは大統領選に向け、農業票や工業票を手元に留めておきたいからでしょう。
自国経済にとってマイナス面が大きくなることが確実であれば、そもそも協定交渉に参加することすら拒むはずだからです。
外交に加え、経済でもポイントを思うように稼ぐことができていないクリントン候補は盤石とは言えないだけにトランプ候補には逆転のチャンスは十分にあると言えるでしょう。しかし、そのトランプ候補もTPPについての認識が80年代の “日米貿易摩擦” を引きずったままという欠点が露呈してしまっています。
“弱み” が見えている状況ですので、次回以降のテレビ討論会は手堅く行く戦法ではなく、相手の矛盾点を攻撃するシーンが増えると思われます。当然、非難の応酬も激しくなるでしょう。大統領選の本番はこれからと言えそうです。