太陽光発電関連業者、FITのドーピング効果が切れて倒産が本格化

 太陽光発電を行う関連事業者の倒産件数が2000年以降で最多になっていると日経新聞が伝えています。

 高額な固定価格での全量買取制度が是正化される流れが顕著になると、倒産件数が増えたのです。ビジネスとして成り立っていないことは明白であり、ゾンビ企業として生き残る前にまともな市場を形成する必要があると言えるでしょう。

 

 東京商工リサーチは12日、2016年の太陽光関連事業者の倒産件数が65件と調査を始めた2000年以降で最多となったと発表した。負債総額は242億4100万円にのぼる。政府が設けた再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)で、太陽光で発電した電力の買い取り価格が引き下げられたことなどが響いた。

 (中略)

 昨年の倒産企業の原因としては「販売不振」が最も多く、53.8%。「事業上の失敗」(16.9%)、「運転資金の欠乏」(12.3%)が続いた。

 

 一連の “太陽光バブル” は民主党政権時代の『負の遺産』です。他の発電手法と比較しても、42円はあまりに高額な水準であり、導入当時のヨーロッパ水準よりも高額なものだったからです。

 「ビジネスとしての将来性」でゴリ押ししたとしても、買取金額が段階的に引き下げられることは将来性があるなら当たり前のこと

 もし、42円という高額な買取金額を継続しなければならないのであれば、それはビジネスとして破綻しています。10円台前半の原子力発電を止めてまで、4倍以上の価格である太陽光発電を推進するメリットを論理的に説明できなれば、太陽光発電が一般に普及する理由は生まれないのです。

 

 また、家庭用ソーラーパネルの販売にもブレーキがかかるでしょう。

 まず、FITの買取金額が引き下がるため、新規設置によるメリットは少なくなります。もし、太陽光発電の方がリーズナブルであるなら、大規模工場を持つ企業がこぞって自社の敷地内に太陽光パネルを設置し、電力の供給源をスイッチしているはずです。

 しかし、そのような動きはありません。そうしたプロジェクトを動かしているなら、“反原発” の旗手となっている朝日新聞・毎日新聞などが競って大々的に紹介しているはずだからです。

 印刷所という大量の電力消費を行う施設を持つ大メディアですら、再生可能エネルギーへの切り替えを行ったことを発表していないのです。メリット部分はもう残されていないと言えるでしょう。

 その上、重量数百キロ単位のパネルを屋上に設置するのです。地震の揺れで落下したり、建物が落ち潰されるリスクが増える訳ですから、この懸念を払拭する必要も生じることになります。

 

 電力市場を歪める温床であるFITは規模を限定する必要があるでしょう。高額な電力料金による “しわ寄せ” を受けるのは一般人なのです。

 高給を得ている人からすれば、電力料金の上昇による影響は微々たるものです。しかし、工場を稼働させるためのコストは跳ね上がることを意味していますし、それによって賃金に回す資金が枯渇することにもなるのです。

 再生可能エネルギーを普及させたいのであれば、それを希望する人々が率先して高額な電力料金を負担すべきです。

 少なくとも、高額な電気代の請求書を世間一般に回すようでは理解を得ることはできません。携帯電話の契約プランのように電気代も発電手法別で料金体系に差を設けるべきなのではないでしょうか。