“家庭に巨額な電気代負担を強いる太陽光発電” を問題視しない政党やマスコミは「弱者の味方」ではない
FIT (固定価格買取制度)で極めて高額な買取価格が設定されている再生可能エネルギー業界が岐路に立たされています。
日経新聞によりますと、家庭用太陽光発電の買取制度が期限を迎える2019年以降に「家庭が太陽光パネルを設置・維持するインセンティブは大きく減退する」とのことです。
電力消費者全員が「インセンティブの支払い」を強要されている現状から解放される訳ですから、朗報と言えるでしょう。なぜ、『弱者の味方』を自称する政党やマスコミほど、この “不都合な事実” から目を背けるのかが不思議でなりません。
家庭の太陽光発電が2019年、試練を迎える。余った電気を高く買ってもらえる10年間の期限が切れ始め、23年までに160万世帯が発電する大量の電力が買い手を失う恐れがある。政府は再生可能エネルギーを国の主力電源に育てる方針だが、家庭が太陽光パネルを維持するインセンティブは減退する。
(中略)
経済産業省を中心に対策を協議中で、新電力など電力会社が個人と相対で契約を結び電気を買い取る仕組みが有力だ。ただ買い取り価格は「10円以下と従来の5分の1になるだろう」(業界関係者)。
太陽光発電による FIT (固定価格買取制度)は設置者以外からの評判は良いものではありません。なぜなら、買取価格が異様なほど高額だからです。
- 家庭用:48円で10年間(2009年開始)
- 業務用:42年で20年間(2012年以降に開始)
「買取価格が下がった」とは言え、現行では40円台と高額な価格で買取が行われている状況なのです。しかも、価格が決められた当時の水準でさえ、“割高” だったのですから、極めて問題のある制度が設定・運用されることになったと言えるでしょう。
“高額買取” による請求書は全電力消費者に送りつけられている
再生可能エネルギーが高額で買い取れる理由は「全電力消費者の利用料金に上乗せされているから」です。
『再生可能エネルギー発電促進賦課金』として毎月の電気代に加算されています。標準的な家庭で「月にコーヒー1杯程度(≒ 数百円)」と当時の民主党政権が説明していたのですが、その額は月1000円が目前に迫っているのです。
(1ヶ月に 300kWh を消費する家庭で月額870円の負担)
負担は今度も伸び続ける訳ですから、家計の大きな負担となる “迷惑な存在” な存在と言えるでしょう。
「太陽光パネルを設置できる資金を持つ者」による全電力消費者への搾取行為
不思議なことに『弱者の味方』を自称する政党やマスコミは再生可能エネルギーが抱える “不都合な真実” から目を背け続けています。
“太陽光パネルを設置できる資金力を持つ者” が FIT (固定価格買取制度)を使い、(太陽光パネルを設置できない弱者を含む)全電力消費者から「高額な電気料金」という形で搾取をしているのです。
これほど、経済強者が優位となる制度は珍しいと言えるでしょう。『弱者の味方』を主張する政党やマスコミが “絶対に糾弾しなければならないテーマ” であるはずです。
FIT に向けた動きが出ていた時点で「買取価格が高すぎる」との指摘は出ていました。しかし、当時の政府は「昔のデータを引っ張り出して、高額な買取価格を熱望するロビイスト」に忖度したのです。
しかも、『弱者の味方』を名乗るマスコミがその行為を応援する “提灯記事” を書いているのですから、致命的な欠陥があると言わざるを得ません。
高額買取を熱望した孫正義氏、希望を叶えた菅直人・民主党政権、そして褒め称えた朝日新聞
再生可能エネルギーによる巨額負担を国にもたらしたのはソフトバンクの孫正義氏、当時の首相だった菅直人氏、そして朝日新聞の三者です。
孫正義氏が菅直人首相(当時)と会食。その席で「FIT 導入に向けた “エール” が送られた」と朝日新聞が制度導入を応援する提灯記事を書いているのです。
森友・加計の “疑惑” とは比較にならない問題と言えるでしょう。『忖度』というレベルではなく、当時の市場価格よりも高額な買取金額が設定され、ソフトバンクはメガソーラーを設置して多額の収益を手にすることになりました。
この行為を問題視しない時点で『弱者の味方』を名乗る資格はないのです。民主党・菅直人政権で中枢を担った議員は立憲民主党で要職を務めていますし、朝日新聞は「再生可能エネルギーのコスト」を完全に無視した論調ばかりを主張し続けています。
「再生可能エネルギーのコスト」に目を向けず、『弱者の味方』を名乗る政党やメディアの主張を鵜呑みにすると、自分が “カモ” にされるという現実を知っておかなければなりません。
なぜなら、あなたが “カモ” にされ、貧困層に転落しても彼らは困ることはないからです。それどころか、彼らは転落した人々に『弱者の味方』を名乗って接近し、運動の “鉄砲玉” や貧困記事に登場する “哀れな人々” として活動に利用すると考えられます。
活動内容に疑念を抱かないバカを上回る “使い勝手の良い運動員” はいないからです。「再生可能エネルギーのコスト」はそれを見分ける格好のリトマス紙として機能するでしょう。
まずは「再生可能エネルギーのコストは割に合わない」と考える消費者の意向を反映する制度に改善する必要があると言えるのではないでしょうか。