再生可能エネルギーが『主力電源』となるには「FIT に頼らない、市場原理に基づく買取価格」が適用されることが絶対条件だ
経産省の審議会で「エネルギー基本計画」の見直しが行われ、再生可能エネルギーが『主力電源』と位置づけられ、導入拡大に向けた政策を進める方針であると NHK が報じています。
ただ、現状では全量固定買取制度(FIT)で再生可能エネルギーは高額な電気料金を引き起こす原因となっています。この問題点が解決されない限り、再生エネは経済成長を妨げる “厄病神” になることでしょう。
「エネルギー基本計画」の見直しを進めている経済産業省の審議会は、26日の会合で、その方向性をまとめました。
それによりますと、2030年度に向けて、太陽光や風力などの再生可能エネルギーについては「主力電源」と位置づけ、導入を拡大するとしています。
そのうえで今後の政策の方向性として、再生可能エネルギーで、現在、ヨーロッパなどに比べて割高となっている発電コストを国際的な水準まで引き下げるとしたほか、太陽光などで発電した電力を送る送電線の容量を確保するため、現在の運用ルールを見直すなどとしています。
コスト面が再生可能エネルギー普及を妨げる最大の要因
日本は天然資源が乏しい国であり、「発電方法を多様化すること」はエネルギー政策として正しいと言えるでしょう。再生可能エネルギーを『主力電源』と位置づける理由はそうした点も存在したはずです。
ただ、乗り越えなければならないハードルも存在します。
それは「あまりに割高な買取価格の是正」です。再生可能エネルギーは FIT により、全量が高値で買い取られ、再生可能エネルギー割賦金という形で全電力消費者が強制負担させられている状況です。
「再生可能エネルギーを使うかどうか」の選択肢すら消費者には与えられていないのですから、この点を含めて是正する必要があると言えるでしょう。
「再生エネ業者の儲けだけが確約された状況」は明らかに不健全な市場
再生可能エネルギーが『主力電源』となるには FIT による恩恵が解消された後でなければなりません。FIT が有効なままであれば、再生エネ業者だけが得をするという状況になるからです。
孫正義氏が「42円が欧州基準」とデマを主張し、菅直人政権がそれを認めて FIT がスタートしました。
「月にコーヒー1杯分ぐらい」と理解を求めた再生可能エネルギー割賦金は「高級ホテル内のレストランで飲むコーヒー代」を超える額にまで上昇しました。この金額はさらに高くなることが確定している訳ですから、再生可能エネルギー業界につぎ込む税金に歯止めをかけなければならない時期に来ていると言えるでしょう。
送電線の運用ルールを見直すにしても、現行の FIT が有効であれば、消費者の電気料金負担額が増えるだけなのです。この点もオープンにした上で、エネルギー政策を議論する必要があるはずです。
マスコミは「現状の再生可能エネルギーはどれも割高」という現実を消費者に伝えるべき
メディアは再生可能エネルギーを猛プッシュしていますが、割高なコストが必要となることは隠し続けています。これは “伝えるべき必要な情報” を隠蔽していることと同じですから、マスコミの罪は大きいと言えるでしょう。
FIT により、再生可能エネルギーの買取価格はどれも高額です。「コストが下がった」とマスコミが報じることはあっても、それは海外での話であり、肝心の日本市場での買取価格は依然として高止まりしているのです。
消費者は携帯電話料金のように電力プランは選べない上、マスコミは広告費が見込める再生可能エネルギー業界に “忖度” している有様です。
再生可能エネルギーが格安の発電コストであるなら、既存の大手電力会社が市場を囲い込み、新電力会社が参入する余地は残されていなかったでしょう。現状では FIT という「絶対に儲かる」というエサに “金の亡者” が群がっているにすぎません。この実態をマスコミは正確に報じる必要があると言えるのではないでしょうか。