「電気代を現状の2倍にする再生可能エネルギーの促進」をまとめた『エネルギー基本計画』に反対する

 NHK によりますと、肉に中長期的なエネルギー政策の方針である『エネルギー基本計画』の新たな案がまとまったとのことです。

 この中で、太陽光発電などの再生可能エネルギーを「主力電源にする」との目標が掲げられています。高価格での買取が義務付けられている FIT があるため、再生エネの割合を増やすほど電気代の高騰を招きます

 電気代は現状の2倍になりますし、製造業の海外移転が進むことでしょう。その結果、雇用情勢が悪化し、日本経済が落ち込むという現実に目を向ける必要があります。

 

 3年ごとに見直される国の中長期的なエネルギー政策の方針、「エネルギー基本計画」の新たな案がまとまりました。今回は温暖化対策の国際的な枠組み、「パリ協定」を踏まえて期間を2050年までとして、太陽光など再生可能エネルギーを「経済的に自立した主力電源」にすることを目指すとしています。

 (中略)

 電源の割合を示すエネルギーミックスについては、今回は従来の内容を見直さず、再生可能エネルギーを22%から24%、原子力を20%から22%、火力を56%程度とした目標を維持しています。

 目標を掲げることは悪いことではありません。しかし、目標を達成するための手段が悪すぎます。

 温暖化対策の枠組みである『パリ協定』を理由に “再生可能エネルギー業界” は普及に一層の力を入れることでしょう。ただ、再生エネで発電された電力は消費者に重い経済負担を強いているという都合の悪い現実をメディアぐるみで隠蔽しているということが大きな問題なのです。

 

電源構成を変化させた際の影響

 発電の割合が変化すると、「二酸化炭素(=温室効果ガス)の排出量」と「電力コスト」は下図のように増減すると資源エネルギー庁が2015年7月に PDF で発表しているのです。

画像:電源構成を変化させた際の影響

 つまり、以下の関係性が存在していることを意味しています。

  • CO2排出量:石炭 > LNG > 原子力=再エネ
  • 発電コスト:再生エネ >> LNG > 石炭 > 原子力

 マスコミが異様なほど猛プッシュしている再生可能エネルギーは「二酸化炭素排出量を抑えるという部分で効果を発揮するものの、経済性(=発電コスト)は最悪」なのです。

 このような特性を持つ再エネの割合が高められることになれば、電気代の高騰を招きます。また、最も経済性に優れた原子力発電を潰す論陣を張っているのですから、電気代は現状の2倍になることでしょう。

 

再生可能エネルギーの割合が 1% 上がるごとに、電気代は 5~10% 強で上昇する

 反原発派は「再エネの割合増で電気代が現状の2倍になる」との批判に対し、「原発再稼働に関係なく、電気代は2倍近くに上昇する」と反論しています。

 これは「原発を動かしても、電気代は2倍近くになるのから、原子力発電を辞めよう」という主張です。しかし、電気代を上昇させる最大の原因は “反原発派が猛プッシュしている再生可能エネルギー” なのです。

  • 関西電力が大飯原発を再稼働:
    • 発電割合が「LNG:減、原子力:増」に変化
    • 年間約1000億円の燃料費が減少
      → 家庭用で約 5% の電気代値下げ
  • 再生可能エネルギーの割合が増加:
    • 負担の最も少ない「LNG:減、再エネ:増」でさえ、1% あたり1200億円のコストが増加
    • 家庭用で 5% 以上の電気代値上げは避けられない

 再生可能エネルギーの割合を 1% 増やすと、最低でも「関電が大飯原発の再稼働で浮かせたコスト分」が上乗せされるのです。

 この不都合な真実を “反原発派” はまず口にしないでしょう。なぜなら、反原発派のほとんどが「太陽光」や「風力」という高額で価格で全量を買い取る FIT による恩恵を受けようとしている(または既に恩恵を受けている)立場にいるからです。

 

なぜ、2030年の電気代が現状の2倍となるのか

 2030年頃の電気代が現状水準の2倍になる理由は「高コスト体質の再生可能エネルギーの割合が増えるから」です。

  • 再エネの発電割合:約15% (2016年)
    • 水力:9% 前後
    • 太陽光・風力など:6%
  • 再エネの発電割合目標:22〜24% (2030年)
    • 水力:9% 前後
      → 開発の余地は残されていない
    • 太陽光・風力など:13〜15%

 まず、水力発電をするにはダムが必須です。しかし、ダム建設を行うための適地はないため、太陽光や風力など FIT で高額買取が約束されている発電の割合が増加することになります。

 再エネの割合が 1% 高くなると、置き換えの対象が火力発電なら電気代は 6〜9% 上昇します。反原発派は置き換えの対象を原発にしており、その場合は「10% 以上の電気代値上げ」という形で跳ね返ってきます。

 「太陽光や風力など水力を除く再エネは 7〜9% の増加を目標とする」と『エネルギー基本計画』に記される予定です。これは「電気代を 70〜90% 前後値上げする」と宣言したに等しいことであり、経済を重視する人々から批判が起きる原因となっているのです。

 

 電気代が上昇すれば、大口顧客である製造業は国外に製造拠点を移転させます。しかも、“移転する経営体力を持った企業” から国外へと出て行くのです。

 日本国内の製造拠点が減少すれば、そこで働く従業員の雇用は失われます。また、当該企業や従業員を対象にしたサービス業もビジネスが成り立たなくなるため、経済への悪影響を招く結果になることを忘れてはなりません。

 経済のことは “他人任せ” となっている反原発派やマスコミの意向に忖度すると、自分たちの生活がかなりの確率で厳しくなるという現実を知っておく必要があると言えるのではないでしょうか。