JFA が予備登録35選手を非公表にした理由は「ハリルジャパンでは落選濃厚だった “ビッグ3” が入っているから」だろう

 各国リーグ戦の日程が終了する中、W杯出場国が予備登録選手のリストを公表しています。

 ところが、日本代表は「予備登録の選手リストは非公表」との姿勢を示しています。これは「裏がある」と見ておく必要があると言えるでしょう。

 

ハリルホジッチ氏が代表監督のままだったら

 もし、ハリルホジッチ監督が日本代表監督のままであったら、ロシアW杯に挑む23選手は下表のようになっていたでしょう。

表1:サッカー日本代表の登録選手(ロシアW杯)
ハリルホジッチ監督が率いていた場合
GK 川島 永嗣、(第2 GK)、(第3 GK)
DF 酒井 宏樹、酒井 高徳、長友 佑都、槙野 智章、吉田 麻也、(控: SB)、(控: CB-1)、(控: CB-2)
MF 長谷部 誠、山口 蛍、(先: MF)、(控: ボランチ)、(控: MF-1)、(控: MF-2)
FW 大迫 勇也、久保 裕也、原口 元気、(控: CF)、(控: 右WG)、(控: 左WG)

 ハリルホジッチ監督は相手に合わせて戦術を変える指揮官です。基本システムは 4-3-3 で、「攻守でバランスを取り、ハードワークができる選手」が選考されていたことでしょう。先発は以下のようになっていたと予想されます。

  • GK: 川島
  • DF: 酒井宏、吉田、槙野、長友
  • MF: 山口、長谷部、井手口(堂安)
  • FW: 久保、大迫、原口

 “ビッグ3” と称される選手(= 香川、本田、岡崎)はメンバー入りに赤信号が灯りかけている状況でした。その序列を監督交代で意図的に覆した訳ですから、「批判を避ける」という意味でメンバーリストを非公表としたのでしょう。

 

西野監督に変わり、MF と FW の選考基準に変化が生じる可能性大

 ハリルホジッチ監督はフィールドプレーヤー全員に「走力」を要求していました。これは「プレーエリアをチーム全体で移動させる」という点で不可欠な要素です。

 ところが、“人気選手” である香川・本田の両選手は「走力を持ち合わせていないトップ下を本職とする選手」です。つまり、ハリルホジッチ監督の志向するサッカーとは相性が極めて悪かったのです。

 インサイドハーフ(= MF)は「持久力」と「守備能力」が必須です。ウィンガーでは「上下動ができる走力」と「1対1を突破できるドリブル」が欠かせません。これら2つの能力をどちらも欠いている香川・本田の両選手が23選手のメンバーに入ることは難しかったはずです。

 CF の岡崎選手は “要求される能力” を有しています。ただ、武藤選手(マインツ)がゴールという結果を残していますので、CF の2番手争いで「やや劣勢」となっていました。

 知名度のある “ビッグ3” の序列が西野監督になったことでどのように変化が生じるのかが注目点と言えるでしょう。

 

「“トップ下” の待遇で本田と香川が選出されるか」が注目点

 守備陣の序列はハリルホジッチ前監督時代から大きく変化はしないと思われます。変更があったとしても、控えのセンターバックとサイドバックに留まると予想されます。

 大きく変わるのは MF と FW でしょう。

  選手名



MF 長谷部 誠、山口 蛍、(先: 井手口 or 堂安)、(控: ボランチ)、(控: MF-1)、(控: MF-2)
FW 大迫 勇也、久保 裕也、原口 元気、(CF: 杉本 or 小林悠)、(右WG:岡崎 or 伊東)、(左WG:中島 or 乾)
西

MF 長谷部 誠、山口 蛍、(控: 井手口)、(控: MF)
FW 大迫 勇也、香川 真司、久保 裕也、原口 元気、本田 圭佑、(CF: 武藤 or 岡崎)、(右WG:伊東 or 宇佐美)、(左WG:中島 or 乾)

 おそらく、中盤 MF を2選手削り、トップ下で本田・香川の2選手が入ることになるでしょう。この2選手をメンバーから外すなら、ハリルホジッチ監督を解任した意味がなくなるからです。

 

 西野監督は「組織力を活かした戦いをする」と述べていますが、日本に『組織力』はありません。あるのは『派閥(=グループ)の結束』であり、『組織の結束』ではないのです。

 トップ(=監督)の方針に異を唱える『人気選手が中心にいる派閥』の意向が優先されるのです。“選手の意向” が代表監督の方向性を上回るのはメッシ(アルゼンチン代表)やクリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル代表)のような例外だけです。

 ロシアW杯での日本代表の戦いはブラジルW杯の二の舞となる可能性が大です。

 「自信満々で大風呂敷を広げて大会に臨んだものの、完膚なきまでに叩きのめされ、大会の総括を行うことなく逃亡した前回大会での出来事が繰り返される可能性が極めて高い」と言えるのではないでしょうか。