“サンフレッチェの3バック” を西野ジャパンが採用しても、運動量の少ない香川と本田は使いづらい

 5月18日(金)に日本サッカー協会が「5月30日に横浜で行われるガーナ戦に向けたメンバー27選手」を発表いたしました。

 ポルトガルで結果を残している中島翔哉選手(ポルティモネンセ)や久保裕也選手(ヘント)がメンバーを外れたことがサプライズと言えるでしょう。おそらく、西野監督にとって彼らは “使いやすい選手” ではないことが理由だと考えられます。

 

ガーナ戦(5月30日@横浜)に向けた招集メンバー

 横浜・日産スタジアムで行われるガーナ代表との親善試合に向けて招集された日本代表の選手は下表のとおりです。

表1:サッカー日本代表(ガーナ戦に向けた招集メンバー)
  選手名
GK 川島 永嗣、東口 順昭、中村 航輔
DF CB 槙野 智章吉田 麻也、植田 直通、昌子 源
SB 酒井 宏樹長友 佑都、遠藤 航、酒井 高徳
MF DMF 長谷部 誠、青山 敏弘
CMF 井手口 陽介、大島 僚太、柴崎 岳、三竿 健斗、山口 蛍
OMF 香川 真司、本田 圭佑
FW CF 岡崎 慎司、大迫 勇也、武藤 嘉紀
WG 浅野 拓磨、乾 貴士、宇佐美 貴史、原口 元気

 中盤を本職とする選手が多い上、センターフォワードが3選手もいることが特筆点と言えるでしょう。

 守備的 MF (レジスタやアンカー)として力を発揮する長谷部と青山の2選手とトップ下を本職とする香川・本田の2選手を合わせた4選手以外は攻守両方で貢献が期待できる選手が名を連ねています。

 これだけ中盤 MF を本職とする選手が多いとなると、長谷部選手をリベロに置く3バックを起用する可能性が指摘される流れとなるでしょう。

 

サンフレッチェ型の3バック(3-4-2-1)だと、本田と香川の同時起用が可能

 サンフレッチェが4年で3度のJ1タイトルを手にした2012〜2015年に基本となっていたシステムは 3-4-2-1 でした。このシステムを代表チームに移植する可能性はあると言えるでしょう。

画像:西野ジャパンの3-4-2-1(予想)

 なぜなら、トップ下のポジションを2つ用意することが可能であり、人気選手である本田・香川の両選手を先発起用できるからです。

 また、招集に多くの人が首を傾げた浅野選手はサンフレッチェ時代に “ジョーカー” として存在感を発揮。途中出場で得点を量産していた訳ですから、西野監督が 3-4-2-1 を念頭に置いていると考えられます。

 しかし、このシステム(3-4-2-1)を使うのであれば、解決しなければならない問題があります。

 

シャドー(=2列目のトップ下)の選手に課せられた守備タスク

 3-4-2-1 を使っていたサンフレッチェは「ブロックを構築する必要性」に迫られた際、5-4-1 にシフトして対処していました。

画像:3-4-2-1から5-4-1への守備シフト

 つまり、シャドー(= トップ下)で起用された選手がサイドのスペースを消す仕事も請け負っていたのです。このタスクを人気選手である本田・香川両選手が遂行しなければ、3-4-2-1 は “脆弱なシステム” になってしまいます。

 サイドで守備を担当するのがウィングバック(WB)の1選手だけであれば、相手チームに「サイドバックとサイドハーフ(またはウィング)の2選手を起用するシステム」を使われると数的不利な状況に陥ってしまうのです。

 日本代表は「守備に回る時間が多くなる」と予想されていますから、「5-4-1 のブロックを作ることを強いられる時間」は必然的に増えるでしょう。当然、そこから攻撃に転じる訳ですから、運動量に難がある人気選手を2人同時にピッチに立たせることは厳しいと言わざるを得ません。

 

 イタリア王者ユヴェントスを率いるアッレグリ監督でさえ、「守備に難がある選手(=イグアインとディバラ)を2人同時に起用することは難しい」と言及し、シーズン最終盤にイグアイン選手をベンチスタートにしていた理由を説明していました。

 “守備免除の特権” を人気選手2人に渡そうとしている西野ジャパンの方向性はかなり危険性が高いと言わざるを得ないのではないでしょうか。