サッカー日本代表・西野ジャパン、4-2-3-1 と 3-4-2-1 を使い分ける「ギャンブルプラン」に賭ける?
スイス代表に力の差を見せつけられたサッカー日本代表ですが、骨格となる基本フォーメーションが定まっていない状況です。
現状では 4-2-3-1 が濃厚ですが、スイス戦では「守備が機能した」とは言えない内容でした。対策として「試合中に 3-4-2-1 にシステム変更を行う」というプランが温められている可能性があります。
なぜなら、西野朗監督が就任時に発言した “ポリバレント” に合致するからです。ただ、欠点を修正を施すことを怠ると、分の悪いギャンブルをすることになるでしょう。
西野ジャパンの 4-2-3-1 とスイス戦で露呈した問題点
サッカー日本代表は現地8日に行われたスイス戦で、4-2-3-1 を選択しました。
- GK: 川島
- DF: 酒井高、吉田、槙野、長友
- DMF: 長谷部、大島
- OMF: 原口、本田、宇佐美
- FW: 大迫
スイス戦が苦戦となった理由の1つは「相手のビルドアップに数的不利な状況での対応を余儀なくされた」という点でしょう。
スイスは日本代表と同じ 4-2-3-1 を使いましたが、守備時は 4-4-2 になる日本が大迫選手と本田選手の2選手がセンターバック(CB)にプレスをかけるとボランチのベーラミ選手が CB の間に下がり、3対2 で数的優位を確保し続けていました。
この状況はW杯本番でも起きることは想定されます。そのため、“何らかの対策” が講じられる可能性はあると言えるでしょう。
試合中に 3-4-2-1 (= 3-4-3)へのシフトで相手の最終ラインからのビルドアップを妨害
対策として、現実に考えられるのは「4-2-3-1 と 3-4-2-1 を試合中に併用する」というものです。右サイドバックに酒井宏選手を起用すれば、併用は可能と言えるでしょう。
DF は左にスライドし、長友選手が1列上がる。2列目の MF は右にスライドし、原口選手が1列下がる。これで 4-2-3-1 から 3-4-2-1 にシフトすることができるのです。
- GK: 川島
- DF: 酒井高、吉田、槙野
- DMF: 長谷部、大島
- WB: 原口、長友
- OMF: 本田、宇佐美
- FW: 大迫
前線が1トップ2シャドーの3選手になる訳ですから、センターバック2選手とボランチの計3選手で組み立てる相手と同数を確保することが可能になります。ただ、3-4-2-1 にも問題があることを忘れてはなりません。
3-4-2-1 は相手の最終ラインでのビルドアップには効果的だが、その他での効果は見込めない
相手の最終ラインと数的同数を確保できる 3-4-2-1 は重要なオプションになります。しかし、その効果は極めて限定的です。
- ハイプレス時:
- 4-2-3-1 から 4-4-2 の形に変更して相手の最終ラインにプレスを敢行
- 相手が3バックや中盤が下がって、2CB+1MF になった場合は 3-4-2-1 に移行してプレスを実施
「センターバック2選手とボランチの計3選手で最後尾からビルドアップするチームに対し、3選手でハイプレスをかける」という形でしか威力を発揮しません。例えば、相手が 3-5-2 の形でビルドアップを試みると、今度は中盤で数的不利が生じることになるのです。
そうなると、相手の中盤がパスコースを確保するとが容易となり、日本代表は 3-4-2-1 の状態から守備をスタートすることを強いられます。しかも、ボールのラインを超えていないのは(最大でも) DF の3選手と MF の4選手ですから、普段よりも手薄であるとの認識で守備網を構築しなければなりません。
守備を安定させた上で、攻撃プロセスを模索・確立することが大前提なのです。ただ、西野ジャパンは「攻撃」に重きを置き、「守備」は二の次となっています。
世界屈指の攻撃力があるなら、「ノーガードで互いに打ち合う」という土俵に相手を引っ張り上げることで、相手に勝つ確率は高まるでしょう。しかし、サッカー日本代表の攻撃力はW杯出場国の中でボトムハーフ(=下半分)に属しているのです。
この状態で「ノーガードの打ち合い」を選択すれば、返り討ちにされることでしょう。どのフォーメーションを使っても、攻撃に意識が集中している限り、ギャンブルに変わりないと言えるのではないでしょうか。