2018ロシアW杯は「スペースと時間が制限される守備」が顕著に目立った大会

 7月15日に決勝を控える FIFA サッカーW杯ロシア大会は「堅い守りが印象的」と FIFA で技術研究グループに属するマルコ・ファン・バステン氏がコメントを述べたと NHK が報じています。

 大会終了後には『リポート』が発表されますが、堅守が今大会のトレンドであり、次回大会は「堅守の上に何をプラスアルファすることができるか」が求められることになるでしょう。

 

 サッカーワールドカップロシア大会でFIFA=国際サッカー連盟の技術研究グループのメンバーの1人で、元オランダ代表監督のマルコ・ファンバステン氏は12日、今大会について「ディフェンスがとてもよく組織されていて堅い守りが印象的だ」と各チームの守備が充実していることを特徴にあげました。

 今大会はほとんどのチームが守備の際は「4-4-2 のブロック」を構築し、堅い守備陣系を作ることに注力していました。

 ペップ・グアルディオラ監督がバルセロナ時代に確率した “ティキタカ” を信奉する人々にとってはストレスの溜まる大会だったでしょう。そのため、「堅い守りのチーム」が数多く見られた理由を確認する意味はあると言えるはずです。

 

各チームのポゼッション能力が増した上、過密日程で行われる世界最高の大会

 良く組織された堅い守りを持ったチームが 2018 FIFA サッカーW杯ロシア大会で数多く見られた理由として、次の項目が考えられます。

  • ほとんどのチームでポゼッション能力が大幅に向上
  • W杯は過密日程の上、一発勝負の要素が強い

 まず、ビッグクラブと呼ばれるクラブはポゼッションに舵を切っています。アトレティコ・マドリードやユヴェントスという “守備型” のイメージが強いクラブでさえ、相手のプレスをかわす術は備えている状況なのです。

 つまり、ほとんどの代表チームは「相手チームの前線からのプレスを回避できるパス能力」を保持しているのです。この状況で前線からプレスを敢行すると、スタミナの消耗を招いてしまいます。

 過密日程のW杯でスタミナを消耗してしまうことはマイナスでしょう。“相手の守備ブロックを崩せるパスワーク” がないのであれば、相手のミスを誘発させる強固な守備網を構築する価値は大きいのです。

 

「『スペース』と『時間』を制限する」という守備のトレンド

 各チームが「良く組織された堅い守備」に注力した目的は「相手の攻撃的選手のスペースと時間を制限するため」でしょう。

 ゴール前の危険なエリアで『スペース』と『時間』を制限することは失点の可能性を引き下げます。一発勝負は先行したチームが圧倒的に優位であり、W杯においても守備を整備することが重要であることは言うまでもありません。

 ビルドアップでミスをして相手にカウンターを許して失点した場合の代償が大きすぎるのです。

 そのため、「ボールを取り切れない」と判断した場合は「自分たちが強固な守備ブロックを構築するまでの時間を稼ぐ」という意識をどのチームも持っていました。それが今大会で『堅い守り』が目立った理由と言えるでしょう。

 

 W杯に出場するチームは「ボールを持てる」のです。そのため、単純にプレスをかけるだけではスタミナを消耗する結果となり、どのチームも無駄骨を折ることはしないでしょう。

 次回大会では「ゴール前で強固なブロックを構築し、攻撃側のスペースと時間を制限すること」が基準になっていることが予想されます。

 日本代表がベスト8を目指すのであれば、そのことを念頭においたチーム作りが必要になると思われます。ハリルホジッチ監督のことをどのように総括し、新監督にどのような役割を期待して任命するのかに注目と言えるのではないでしょうか。