ロシアW杯・コロンビア戦の試合展望
6月19日にサッカー日本代表はロシアW杯初戦のコロンビア戦を控えています。
コロンビア代表の基本戦術を確認するとともに、勝敗の分かれ目になると考えられる点などを整理することにしましょう。まずはコロンビア代表の攻守における特徴からです。
サッカー・コロンビア代表の基本戦術
コロンビア代表のチームとしての特徴は以下のとおりです。
- 『個』の能力を活かしたチーム
- 「インターセプト型」が主体の堅守速攻に強み
- 得点はハメスやファルカオの活躍度に依存
コロンビア代表にはヨーロッパのビッグクラブで主力としてプレーする選手が多く、ハメス・ロドリゲスやファルカオといった攻撃的な選手が持つ『個の能力』を最大限活かす形のチームになっています。
『個』でワールドクラスの選手を有している訳ですから、コロンビア代表は “単騎勝負” の局面を多く作るほど、得点の可能性が高くなります。逆に、日本代表は1対1で上回ることは難しいため、その状況に持ち込ませない試合運びをする必要があるでしょう。
コロンビア代表にとって、日本戦は "must win game"
H組はポーランド・コロンビア・セネガル・日本の4カ国で争われますが、日本の実力が1段下であることは否定できません。ポーランドやコロンビアはワールドクラスのセンターフォワードを擁していますし、セネガルはアフリカ勢のフィジカルという強烈な個性を有しているからです。
他の3カ国と比較すると、日本はワールドクラスの FW もおらず、特殊で強烈な個性を持ったチームではありません。“オーソドックス” で実力的にも劣るため、日本を相手に勝点3(=勝利)を取りこぼすと、グループ突破に黄信号が灯る状態なのです。
つまり、コロンビア代表にとって、日本戦は「(絶対に)勝たなければならない試合」という位置づけです。
勝つためには得点が必要です。ただ、コロンビア代表はポゼッション型のチームではありません。この点を見落としてしまうと、相手の術中にはまるリスクが高いと言えるでしょう。
「ポゼッション型の日本代表」をコロンビア代表は期待している
ちなみに、コロンビア代表が実力を発揮しやすい試合展開は「相手チームがポゼッション目的で前に出てくる」というものです。それにより、コロンビア代表の弱点が露呈しなくなるからです。
- 守備ブロックを崩す必要がない
→ コロンビアは引いた相手を崩すのは得意ではない - 相手の DF ラインが高いとカウンターで使うスペースがある
- 1対1の状況になりやすく、『個』の能力を活かせる
コロンビア代表の守備陣がインターセプトを積極的に狙う理由は「インターセプトに成功すると、シュートにまで持ち込める能力を持った攻撃陣を擁しているから」です。日本代表のハリルホジッチ前監督が述べていた「縦に早く」を高度に実践しているチームなのです。
逆に、相手の守備ブロックを崩して得点を決める方はそれほど得意ではありません。つまり、「コロンビアにボールを持たせる時間」が増えると、“崩しのパターン” が限定的なだけに苦しい状況に追い込まれてしまうという一面を持っているのです。
日本代表がコロンビア代表に勝つために必要なこと
日本代表が格上のコロンビア代表から勝点を獲得するためには「相手が得意とする土俵で勝負しないこと」が絶対条件です。そのために必要なプレーをどれだけ徹底できるかに賭かっていると言えるでしょう。
- 守備面
- カウンターを受けた時は守備ブロックを整えるための時間を稼ぐ
- 守備ブロックを構築し、ハメスをビルドアップに参加させる
- 攻撃面
- 攻撃時に SB が空けたスペースを素早く突く
- インターセプトを狙う CB の動きをフリックなど使い、2列目からの飛び出しを活用する
『カウンターの応酬』になれば、格上のコロンビア代表が優位になります。この点を自覚し、コロンビア代表が攻めあぐねる展開を作り、相手のミスを誘発する戦いをするべきでしょう。
そして、コロンビア代表のミスを素早く突き、シュートにまで持ち込むスピーディーな試合展開が日本代表には求められているのです。要するに、“弱者のとしてのフットボール” を突き詰めるほど、勝点を獲得できる可能性が高まることになるからです。
ハリルホジッチ前監督を解任したことで、日本代表は「ポゼッション志向」が強まりました。これは「コロンビア代表が力を発揮する」という状況を意味していることもあり、真っ向勝負を挑むと返り討ちに遭う可能性が高いのです。
このことを西野監督がどれだけ自覚し、対応策を講じているのかが注目点と言えるのではないでしょうか。