フェイスブック、Huawei などにユーザー情報を提供していたことが発覚 当局の怒りを買う結果に
「約8700万人分のユーザー情報が不正取得され、2016年のアメリカ大統領選に利用されていた」とのスキャンダルに見舞われたフェイスブックがさらなる批判を受けています。
AFP 通信は「アメリカが “国防上の脅威” と見なす中国のスマホ企業ファーウェイ(Huawei, 華為技術)とフェイスブックがユーザー情報を共有していたことが明らかになった」と報じています。
当局の怒りを買う行為であるだけに、フェイスブックに対する風当たりはさらに強くなることでしょう。
問題となっているのは、フェイスブックが10年前に端末メーカー約60社と結んだ契約。同社は5日夜、対象の企業に華為技術が含まれていたことを認めた。華為の端末は、サイバー攻撃を通じたスパイ行為に利用されるとの懸念が浮上し、米軍での販売が禁止されている。
フェイスブックは、問題の契約は携帯関連サービスの拡大が目的だったと主張。だが議員らは、当局が国家安全保障上の懸念から中国企業の米市場へのアクセスを阻止しようとしていた一方で、フェイスブックが中国企業にユーザー情報へのアクセスを許していたことに怒りを表明。また、華為の中国政府とのつながりを懸念する声も上がっている。
ハッカーがわざわざ不正侵入を行う理由は「情報を得るため」です。『盗んだ情報』には相応の利用価値がある訳ですから、個人ユーザーに対するハッキングが後を絶たないと言えるでしょう。
その懸念があるから、ファーウェイ(Huawei, 華為技術)はアメリカから締め出されていたのです。
フェイスブックの行為は “裏切り” に該当する
「ユーザー情報」はハッカーに狙われる対象の1つです。ユーザー情報から個人の趣味・嗜好を読み取ることができますし、交友関係を探ることも可能です。
そのような行為ができてしまうから、EU は過剰と言えるほどの個人情報保護に舵を切ったのです。
2018年の5月25日から『一般データ保護規則(GDPR)』が EU で導入されました。名前やメールアドレス、クレジットカード情報など個人に関する情報の保護が強化されることになり、フェイスブックも遵守を宣言しています。
しかし、その一方で「ユーザー情報」へのアクセスをアメリカ政府が “国防上の脅威” と名指しする中国企業に許可していた訳ですから、裏切り行為に該当すると言えるでしょう。
「ネットに書き込んだ情報は筒抜けになっている」との認識は持つべき
自衛策ですが、「ネットに自ら書き込んだ情報はすべて(システムの管理運用者に)筒抜けになっている」という認識を持ち、行動をする必要があるでしょう。
ネット上でのコミュニケーションを損ねる判断基準ですが、利用者という立場である以上、管理者に該当する企業・個人に一定の情報を渡す結果になっているのです。公開範囲を限定しても、一般利用者からは閲覧できませんが、管理権限を持っていれば閲覧が可能です。
こうした認識を持つことは個人でできる自衛策の中でも有効な部類に入ることでしょう。
また、『Cookie(クッキー)情報』の中にも、個人情報は多く含まれています。この管理も適切に行わなければ、情報漏洩という形で個人の興味や嗜好が流出する恐れがあるという認識を持つ必要があります。
大手 IT 企業が無料でサービスを提供している理由
フェイスブックやグーグルが無料でほとんどのサービスを利用者に提供することができるのには理由があります。
- 無料で良質なサービスを提供し、ユーザーを獲得する
- ユーザーの趣味・嗜好に合った広告を企業から募り、「プラットフォームを運営する企業」になる
要するに、大手 IT 企業は収集した「ユーザー情報」を利用し、広告費で収益を上げているのです。広告を出稿する企業から見れば、自社の商品・サービスに興味を持っている可能性が高い人に直接プロモーションをかけられる訳ですから、魅力的と言えるでしょう。
ここまでであれば、問題として取り上げられることはないと思われます。しかし、「サービス拡大を理由にユーザー情報へのアクセスを他社に許可する」という方針は「一線を超えた」と批判を招くものになるでしょう。なぜなら、ユーザーはその理由に賛同したという根拠が見当たらないからです。
10億人を超える人口を持つ中国市場は企業にとって魅力的です。そのため、中国政府の意向に忖度することは理解できますが、一線を超えるべきではなかったと言えるのではないでしょうか。