“遊戯” であるパチンコで「ギャンブル依存症対策」が採られては建前自体が崩れるのでは?
IR・統合型リゾート施設の整備推進法が成立したことを受け、政府はセットで「ギャンブル依存症対策」も講じている状況です。
その中で、“遊戯” という位置付けであるパチンコで出玉対策を行い、ギャンブル性を抑える対策を警察庁が進めていると NHK が伝えています。「換金など知らない」というスタンスを貫いていたことを踏まえると厳しい立場になることでしょう。
ギャンブル依存症の対策について政府が検討を進める中、警察庁は新たな対策としてパチンコの出玉をより規制する規則の改正案をまとめました。
カジノを含むIR・統合型リゾート施設の整備推進法の成立を受けて政府がギャンブル依存症の対策などの検討を進める中、警察庁はパチンコの出玉をより規制する規則の改正案をまとめました。
具体的には、パチンコの業界団体の調査で客が1度に遊ぶ標準とされる4時間で獲得できる玉の数を金額にして5万円分を下回るようにするほか、「大当たり」の際に獲得できる出玉の数を現在の2400個から1500個に引き下げるなどとしています。
カジノによって新たに生まれたギャンブル依存症患者の対策に関わらなければならないのはカジノ運営者です。自分たちだけは儲けを手にし、マイナス面は知らないという立場は通用しないからです。
しかし、パチンコは射幸性を高めたことで依存症が生じていましたが、“遊戯” という建前をフル活用し、誤魔化し続けてきた経緯があります。それがようやく重い腰をあげたということになるでしょう。
「カジノ解禁」の際に必ず懸念事項として取り上げられるギャンブル依存症ですが、既存のギャンブル依存症患者はカジノによって生み出されたものではありません。
もちろん、闇カジノが原因という人もいるでしょう。しかし、絶対数としては少なく、パチンコや公営競技(競馬・競輪・競艇など)にのめり込んで借金を積み重ね、(借金を一発で取り戻すために)さらに高額なレートに手を染めたケースが多く目につくはずです。
その対策として「射幸性を煽る状況を緩和する」というものでは不十分です。負けの総額を月額で規制するなどギャンブル性を排除しないのであれば、表面上の対策でしかないことは明らかです。
パチンコ業界では『釘』や『裏ROM』という形で不正に手を染める勢力がはびこっている状況です。その対策にあまり乗り気ではない訳ですから、第三者がパチンコ業界の主張に理解を示してくれることは少ないと言えるでしょう。
“三店方式” を根拠に「ギャンブルではない」と主張しておきながら、出玉対策を講じると述べている時点でピントがずれています。
ギャンブルではないのであれば、出玉対策を講じる必要はありません。“特殊景品” の買取レートが下がれば、出玉数に制限をかけることと同義になるのです。警察庁が「出玉対策を講じる」と発表したこと自体が「パチンコ=ギャンブル」と認めたものと言えるでしょう。
業界全体として不正行為に手に染めていた事実を払拭できていない状況でTV広告の掲載を認めているテレビ局のコンプライアンスも問題があると見られて当然です。
依存症が社会問題となる中、対応の鈍い業界に苦言を呈することができないのであれば、放送免許という高い参入障壁に守られている意味はないと言えるのではないでしょうか。