子育て中のママ、自らの生活水準維持のため『独身税』の創設を要求

 石川県かほく市の「かほく市ママ課」に所属する子育て中の女性が財務省主計官との意見交換会で『独身税』の創設を求めたと北國新聞が伝えています。

 既婚者が優遇されている現状を無視し、『独身税』の創設を求めることは身勝手な振る舞いです。創設を求める理由が「子育てをすると生活水準が下がるから」ではエゴが丸出しであり、反発を招くだけでしょう。

 

 子育て中の女性でつくる「かほく市ママ課」と、財務省の阿久澤孝主計官(元石川県総務部長)の意見交換会は29日、かほく市役所で開かれた。ママ課メンバーは「独身税」の創設や医療費削減に関する思いを伝えた。

 ママ課は市のプロジェクトの名称で、30〜40代の女性7人が参加した。メンバーが「結婚し子を育てると生活水準が下がる。独身者に負担をお願いできないか」と質問したのに対し、阿久澤氏は「確かに独身税の議論はあるが、進んでいない」と述べた。

 

 “自分たちの生活水準を維持すること” を目的とした税負担が理解されることは非常に難しいことです。なぜなら、既婚者は税制面で優遇されており、独身者にさらなる負担をかける税制改革は反感を買う結果になることが見えているからです。

 「かほく市ママ課」のメンバーが要求した提案はあまりに身勝手すぎるものと言えるでしょう。

 

1:『独身税』創設の理由が最悪

 『独身税』の創設を求める「かほく市ママ課」ですが、理由が最悪です。「子育てで生活水準が下がるため、税負担という形で独身者に肩代わりして欲しい」というものだからです。

 しかし、配偶者控除という形で既婚者はすでに優遇されています。この状況でさらなる負担を独身者に求めることは理解されないでしょう。

 理由が明らかに身勝手なものだからです。子育てで生活水準が下がるかは各家庭によるため、文句や不満を述べる対象は自分たちの配偶者であるべきだと言えるはずです。

 

2:もし『独身税』を導入すれば、少子化はさらに進行する

 『独身税』の導入を強行した場合、少子化はさらに進行することになります。恩恵を受けるのは「独身税が導入された時点で子育てをしている限られた世帯」のみになるでしょう。

  • (結婚・)子育てをすると、生活水準が下がる
  • 金銭的な余裕がなく、結婚に踏み切らない結婚適齢期の人々が増加
  • 結婚しないため、子育て世帯も減少する

 若者が結婚に踏み切らない理由の1つは「金銭的な余裕がないこと」と言えるでしょう。給与の 20% 弱は厚生年金で天引きされるなど金銭的にカツカツの生活を強いられているからです。

 つまり、「将来に必要となる金額を用意できない」と冷静に分析できる責任感のある結婚適齢期の人々が断腸の思いで結婚を断念しているという側面もあるのです。ここに『独身税』を導入すれば、若者を中心に金銭的に苦しくなる人が増え、結婚・子育ては今以上に “高嶺の花” となることが予想されます。

 

3:『独身税』の課税対象はどうするのか

 “独身” といっても、定義によっては本末転倒になります。なぜなら、子育てママの子供たちも独身であり、『独身税』の課税対象になるからです。

 配偶者と死別した人は “独身” ですし、未婚の母も “独身” です。また、政治家にとって大票田である高齢者も “独身” の割合が高くなっているはずです。こうした立場の人を政治的に外す根拠を示すことは難しく、現実味のない提案と言えるでしょう。

 もし、少子化対策として『独身税』の創設を考えているのであれば、方向性が間違っています。独身者への風当たりをするのではなく、結婚・子育てをすることの恩恵を見えやすくする形の政策を実施する方に舵を切らなければなりません。

 

 今回は「子育てママを優遇しろ」とのワガママ連中に行政が肩書きを与えたことが原因です。かほく市は条例案で『独身税』を設け、集めた税金を市内で子育てをする世帯に給付する方針を打ち出すべきと言えるでしょう。

 国家戦略特区で “子育て世帯にやさしい街づくり” を掲げ、どういった反応が起きるのかを実証してみるべきと言えるのではないでしょうか。