ノンフィクションライター・中村淳彦氏、フィクションで貧困問題を描く

 貧困問題をテーマとして取り上げ、行政からの支援を引き出すことがマスコミの潮流となっています。しかし、その一方で「虚偽の貧困問題」を紹介し、それが発覚するという事案も発生している状況です。

画像:中村淳彦氏が執筆した記事へのファクトチェック

 ノンフィクションライターの中村淳彦氏が東洋経済で連載しているコラムのその1つと言えるでしょう。

 

■ 中村淳彦氏が東洋経済で執筆した問題のコラム

 問題のコラムは中村淳彦氏が11月30日付で東洋経済のウェブサイトで公開されたものです。

画像:中村淳彦氏の掲載コラム

 娘は、叔母の介護で混乱する母を理解した。1人で留守番をしながら勉強を続けて、超進学高の1年生になっていた。弁護士になりたいという夢があった。家庭に迷惑をかけないようお茶の水女子大学法学部に進学し、「頑張って司法試験を突破するから」と言っていた。

 コラム内でスポットが当てられた女性の娘のプロフィールが紹介されていた部分に問題があったのです。なぜなら、中村氏が「完全な作り話」を書いているという決定的な証拠が存在するからです。

 

 

■ 事実

1:お茶の水女子大に『法学部』は存在しない

 お茶の水女子大学に存在する学部は以下のとおりです。

  • 文教育学部
  • 理学部
  • 生活科学部(旧・家政学部)

 つまり、お茶の水女子大学法学部は存在しないのです。また、お茶の水女子大学の歴史を紐解いても、法学部が存在した過去はありません。

 したがって、中村淳彦氏が執筆した11月30日付のコラムは「作り話」と言えるでしょう。

 

2:問題の部分をコラムからこっそり削除し、隠蔽に走った中村淳彦氏と東洋経済

 「お茶の水女子大学法学部に進学」と書いた中村淳彦氏ですが、現在では「超進学高の1年生になっていた」と書かれた後の文書は削除されています。

 ただ、文面が変更された事実が明記されていないのです。これは “隠蔽” と呼ばざるを得ません。公開した内容を編集したのであれば、それを記しておくことが最低限の責務と言えるでしょう。

 『作り話』が蔓延しているとの疑いの目が向けられている貧困問題で、フィクションを書いていたことが明らかになれば、世間からの風当たりが強くなって当然です。間違いが発覚したのであれば、隠蔽ではなく訂正した上で謝罪することが必須なのではないでしょうか。