北海道の電力不足を無視し、秋の臨時国会でモリカケを取り上げる予定の野党に存在価値はあるのか

 日経新聞によりますと、政府・与党は10月下旬に秋の臨時国会を招集する調整に入ったとのことです。

 どのテーマを持ち出すかは各政党の裁量ですが、優先順位を間違うと批判を招くことになります。野党は『働き方改革』で「人の命が賭かっているんですよ!」と大騒ぎしたのですから、『北海道の電力不足問題』でも同じ主張を展開してくれることでしょう。

 そうでなければ、「命の重みに差を付けている」という実態が世間にさらされることになるからです。

 

 自民党総裁選で安倍晋三首相が3選したのを受け、政府・与党は臨時国会を10月下旬に召集する調整に入った。自然災害の復旧作業対応としての2018年度補正予算案の成立を最優先する。外国人労働者の受け入れを拡大する法案などが焦点となる。首相は自民党の憲法改正案の提出をめざすと表明しており、立憲民主党などの野党は対決姿勢を強める。

 (中略)

 野党は学校法人「森友学園」「加計学園」をめぐる問題を引き続き追及する構えだ。野党6党派は「国民は納得していない」と主張し、国会閉会中も合同ヒアリングを開いている。公文書の改ざん問題を受け、公文書管理法の改正も訴えている。

 自然災害の復興予算が臨時国会で成立することは確定的です。

 そのための審議が行われるのですが、そこで野党がどのような主張を展開するかが大きな注目点と言えるでしょう。なぜなら、反アベ界隈が安倍政権の災害対応への “意味不明な批判” を行っていたからです。

 熱狂的な支持者からの喝采を得るために、電力不足に陥っている北海道の住民を見殺しにするのかが如実に示されることになると言えるはずです。

 

「北海道全域のブラックアウト」に対する再発防止策を語る上で、『電力不足』の現実を受け入れることが大前提

 問題が発生した場合、再発防止策を講じることが求められます。これは「問題発生前の状態に戻した」というだけでは、誰も納得しないことが理由です。

 今回、北海道で発生した地震では道内全域が停電するブラックアウトが発生しました。

 「苫東厚真火力発電所が復旧したから、問題ない」との『安全宣言』は何の意味も持たないでしょう。なぜなら、余震で苫東厚真の運転が停止すれば、再びブラックアウトが起きる可能性が現実にあるからです。

 もちろん、苫東厚真に限らず、電力需要が増える冬場にどこかの火力発電所が落ちるだけで同様のブラックアウトは起きるのです。この現実から目を背けた国会論戦は地域にとって無意味なものと言わざるを得ません。

 

働き方改革で「人の命が賭かっている」と主張した野党は “モリカケ” を取り扱うべきではない

 国会の予算委員会は「何を質疑しても良い」とのルールで運用されています。ただ、維新を除く野党が予算委員会以外でも森友・加計問題を取り上げ続け、支持率を軒並み下落させました。

 10月下旬からの臨時国会でも、“モリカケ” を取り上げるのかが注目点と言えるでしょう。

 その頃には北海道は本格的な冬に突入し、積雪も始まっていることが予想されます。つまり、暖房用の電力需要が加算されるため、北海道の電力不足が現実問題になっていることが想定されるからです。

 『太平洋ベルト地帯』に位置する地域とは寒さの前提が大きく異なる北海道で、冬季に「停電発生のリスク」があることは致命的です。本当に「人の命が賭かっている」のですから、モリカケのような根拠すら提示できない “言いがかり” によるパフォーマンスは北海道民からの反感を買うことになるでしょう。

 

共産主義運動の拠点とする目的があるなら、北海道を “反原発運動の実験台” にする意味はある

 おそらく、野党は秋の臨時国会で森友・加計問題を積極的に取り上げると思われます。なぜなら、北海道の電力不足問題に向き合わなくても、党勢への影響は限定的との打算が働いていると考えられるからです。

  • 北海道は労組が支持基盤になっている野党が強い地域
  • 「電力不足に対処する責任は与党にある」と主張することが可能
    → 大規模停電が再発した場合も同様
  • 道内が貧しくなれば、共産主義が広がりやすくなる

 「泊原発の再稼動」が北海道内の電力不足を解消する最も現実的な手段です。しかし、野党は今も反原発の姿勢を鮮明にした活動を続けています。

 野党は電力不足状態を作り出した側ですが、それによって生じた問題に対処する責任をすべて政権や与党に転嫁することでしょう。これまでの政治姿勢が転換するなど到底考えられないからです。

 「電力は足りている」と言い続けてきた手前、もう後戻りすることはできません。ただ、北海道の住民の生活を守る責任がない野党は北海道を『反原発の実験場』にして困ることは何もありません。成功すれば手柄になりますし、失敗すれば補助金を集るためのネタにすれば済むからです。

 

 “言いがかり” のモリカケより、現実的な根拠が示せる『北海道の電力不足』を扱えないのであれば、野党に存在価値はありません。

 少なくとも、お得意の野党合同ヒアリングで原子力規制委員会を呼び出し、「北海道民の命が賭かっているんですよ!」とメディアカメラの前で大騒ぎをするべきでしょう。それによって、過去の発言との間に一貫性を持たせることが可能になるからです。

 北海道選出の野党の大物議員が秋の臨時国会でどのようなテーマを取り上げ、見解を表明するのかに注目する必要があると言えるのではないでしょうか。