泊原発再稼働反対キャンペーンを続けてきた北海道新聞、ブラックアウトの責任を北電に押し付けて逃げる社説を掲載する
9月6日に北海道で発生した地震で、道内がブラックアウトする事態に陥りました。ブラックアウトの原因は「供給能力に余裕がなかった」からであり、泊原発が稼働していれば、ここまで大規模な停電は起きなかったでしょう。
ところが、泊原発の再稼働に反対してきた北海道新聞は7日付の社説で、「北電には納得できる説明を求めたい」と責任転嫁をしている有様です。ブラックアウトが起きる環境を整えた反原発派は自らが主張した言論に対する責任を負わなければなりません。
北電によると、道内最大の苫東厚真火発が止まった影響で需給バランスが崩れ、他の火発も停止し、道内全295万戸が停電した。全戸停電は初めてという。
電気は、市民生活にとって重要なライフラインである。
大地震に見舞われたためとはいえ、エリア全域での停電を招いたのは、電力供給事業者として失態と言わざるを得ない。
(中略)
暖房が欠かせない冬場であれば、生命の危機にも直結し、極めて深刻な被害をもたらすことは想像に難くない。
これほどの事態に至った原因に加え、なぜバックアップ機能が働かなかったのか、北電には納得できる説明を求めたい。
停電に関する情報提供も不十分で、直ちに改善すべきだ。
「北海道の電力インフラが “綱渡り状態” だったこと」が根底にある
北海道がブラックアウトした理由は「道内の電力インフラに余力がなかったから」です。
地震が発生した当時、北海道の電力需要は約310万kWでした。これを苫東厚真を中心とする4つの火力発電所で賄っていたのです。
ところが、電力需要全体の5割を担っていた苫東厚真火力発電所が地震でダウン。165万kW の供給力を代替できる発電所が存在しなかったため、苫東厚真の系統にある火力発電所もダウンし、道内がブラックアウトすることになりました。
“余力” がない状態であるにも関わらず、「電力は足りている」と主張し続けてきた反原発派の責任は重いと言えるでしょう。
道新は「2017年5月7日の社説」を見直せ
まず、北海道新聞は2017年5月7日の社説で主張していた内容を思い出さなければなりません。
東京電力福島第1原発の事故後、道民の意識は明らかに変化し、節電が定着した。5年間ではっきりしたのは、原発なしで電力を賄えるという事実である。
それでも北電は、今後も「再稼働ありき」の姿勢をとり続けるのだろうか。
(中略)
泊原発停止後、北電は火力発電所の燃料費増加を理由に2度にわたって電気料金を値上げし、顧客の北電離れを招いている。
値下げは泊の再稼働が前提と繰り返すが、原発のコストがかさむ中、それが唯一なのか。LNG火発の稼働も見据えた一層の経営努力を求めたい。
北海道新聞社が先月行った全道世論調査では、再稼働を「認めるべきでない」と答えたのは59%に上った。北電は、選択肢の狭い「再稼働ありき」の考え方を見つめ直す時ではないか。
道新は「原発なしで電力は賄える」、「泊原発の再稼働ありきの考え方を見つめ直せ」と主張しているのです。
原発より燃料費がかかる火力発電の比重が大きくなれば、電気料金の値上げは避けられません。この現実を直視せず、経営苦境にあえぐ北電に「一層の経営努力」を要求しているのです。
北海道新聞が報じる “民意” を反映するには発電所を集約し、余剰分をカットするしか選択肢はありません。なぜなら、「原発再稼働は許さない」との要求が『世論調査』で出ているからです。
道新の要求に応じた北電が “想定されたトラブル” に見舞われただけに過ぎません。その責任を北電だけに押し付けて逃げることなど論外と言わざるを得ないでしょう。
2012年の時点でブラックアウトの危険性は指摘されていたが、反原発派は鼻で笑っただけだった
「冗長性がないため、電力は足りていない」との主張は2012年の時点で永田晴紀氏などが指摘していることが確認可能です。
永田氏は航空宇宙関係の専門家ですが、「電力インフラ」に関する知識を持っている人にとっては “分かりきっていたリスク” と言えるでしょう。おそらく、電力会社も「電力は足りていない」と主張し続けてきたことが容易に確認できるはずです。
しかし、リスクを指摘する声は世間に届きませんでした。なぜなら、反原発のスタンスを採るマスコミが「電力は足りている」と繰り返し報じてきたからです。
「原発が動いていなくても、電気は供給されているのだから、電力は足りている」と主張して、原発の再稼働を妨害。妨害によって電力会社の経営が悪化すると、「コストダウンの徹底が足りない」と批判しました。
その結果、原発を動かせない電力会社は発電所を集約せざるを得ず、冗長性が失われた状態が続いたのです。そこに地震で主力の火力発電所がダウンしたことでブラックアウトが起きたのですから、マスコミや野党など反原発派が引き起こした “人災” と言えるでしょう。
ですが、反原発派は過去に自分たちが主張した内容をなかったことにし、“ブラックアウトを起こした北海道電力” を吊るし上げることで批判の矛先をかわそうとするはずです。
北海道新聞などの反原発派はブラックアウトが起きる環境を整えたという事実があり、その責任を負わなければなりません。「電力は足りている」と主張してきたのですから、その件に対する見解を署名記事で出すべきでしょう。
責任転嫁をする反原発派を甘やかしてきたツケを払うことほど馬鹿げたことはありません。まずは冬季の停電がシャレにならない北海道選出の国会議員などが「泊原発の即時再稼働」を訴える必要があると言えるのではないでしょうか。