反原発派、共産党・小池晃議員を筆頭に「泊原発が非常用電源による燃料冷却を行ったことは異常事態」と的外れな批判を展開する

 北海道南部を震源をする地震で泊原発(運転停止中)が非常用電源を用いて冷却を行った件に対し、共産党・小池晃議員などの反原発派が「異常事態だ」と批判しています。しかし、これは「的外れな批判である」と言わざるを得ないでしょう。

画像:小池晃議員のツイートに対するファクトチェック

 

■ 小池晃議員のツイート

 共産党の小池晃議員は朝日新聞の記事を引用する形で、以下のツイートを行っています。

画像:小池晃議員のツイート

 政府、および北海道電力は、ただちにきちんと事態を説明すべき。

 「異常確認されず」というが、非常用電源で対応していること自体が異常事態ではないのか。

 “反原発派” を名乗っている人々は「原子力発電所の現状」に詳しいはずです。にも関わらず、今回の地震で泊原発が非常用電源を用いて冷却を継続したことを批判することは不勉強か悪質かのどちらかと言えるでしょう。

 

■ 事実

1:地震発生前での泊原発の状況

 まず、今回の地震(平成30年北海道胆振東部地震)が発生する前の泊原発の状況を整理すると、以下のようになります。

画像:泊原発の状況(地震発生前)

 泊原発は「運転停止中」で、原子炉内に燃料はありません。炉にあった燃料は “使用済み燃料プール” で冷却され続けている状態でした。

 冷却するには電力が必要ですが、泊原発に常用の発電能力はありません。そのため、外部電源を利用していたのです。

 

2:“外部からの電源供給” が途絶えれば、非常用電源を利用するのは当然のこと

 地震で何が起きたかと言いますと、需要電力の大部分を一手に担っていた苫東厚真発電所が被災。これにより、需要と供給のバランスが崩れ、ブラックアウトが発生しました。

画像:ブラックアウトが発生した際の泊原発の対応

 “ブラックアウト” とは「全系崩壊」のことで、需要と供給のバランスが崩れた際、周波数が乱れたことで発電所や変電所の機材が故障することを事前に防ぐために一斉に運転を停止することで起きる現象です。

 つまり、北海道電力が管轄する電力網が一斉にダウンしたのです。当然、泊原発への電源供給もストップします。

 ただ、泊原発は使用済燃料プールを冷却する必要があり、外部からの電源供給が途絶えた場合は非常用電源を使うことになっていました。想定した事態が起きた際の対策がきちんと機能したのです。

 車が事故に遭えば、エアバックが機能します。「エアバックを使うこと」は『非常事態』であり、『異常事態』とは「エアバックが本来の機能を果たさないこと」です。反原発派は “エアバック” が「非常用電源」に当たるものであることを理解していないから、批判がズレたことになっているのでしょう。

 

 そもそも、このようなブラックアウトは「原発の肩代わりをしている火力発電所でトラブルが生じると、大規模停電に陥るリスクがある」と早くから指摘されていたことです。

 想定された危機に対する取り組みを怠ってきた責任は反原発の論調を煽ってきた活動家・メディア・政党(=政治家)にあります。まずは「指摘されたリスクを疎かにし続けてきた事実」を反原発を掲げてきた野党議員は謝罪する必要があると言えるのではないでしょうか。