労働組合目線で活動する政党が「労働者目線」と名乗ったところで、若者からの支持が拡大しないのは当たり前

 「若者が自民党支持なのは理解できない」との視点で朝日新聞の真鍋弘樹編集委員が記事を書いています。

 現実を直視し、中立的な視点で分析できないから、若者層の動向が理解できないだけです。「自分たちの主張が正しい」とのイデオロギーで目が曇っていることを自覚する必要があると言えるでしょう。

 

 メンバーが若かりし頃、世界で若者が反政府デモをしていた。だが今、若い世代の政権与党への支持は高い。昨年の総選挙の出口調査で比例区の自民党に投票した人は60代で29%だったが、20代は47%に上った。

 教育のせいなのか。周囲から浮くのを恐れるのか。50代の記者も加わって議論したが、答えは出ない。

 無知や無関心が理由の一つではという声もある。なら、いわゆる意識高い系はどう考えているのだろう。

 (中略)

 多感な頃、政権交代と東日本大震災を経験した。大人たちの民主党政権への評価と比べると、安倍政権は大きな失点がないように見える。就職も好調だから交代を求める理由がない。

 

「安倍政権の交代を求める理由がない」ことが真鍋編集委員が抱く疑問への答え

 若者層が自民党支持となる理由は「政権交代を求めるメリットがない」からです。

  • 外交・安全保障で結果を残す
  • アベノミクスで経済が持ち直し、就活は売り手市場

 政権交代を求めるのであれば、『現政権の成果』を捨てる覚悟が必要です。これは若い世代にとっては “分の悪い勝負” と言えるでしょう。

 なぜなら、若い世代にとって最も重要なのは「自分が就職する時の雇用情勢」だからです。

 年功序列・終身雇用が色濃く現れる日本では新卒採用で良い企業に入れるかが大きなウエイトを占めます。就職氷河期やリーマンショックで苦労した人を見ているほど、就職戦線を良くしてくれる政権が支持されることは当然なのです。

 これは正社員の身分と高給が保証された立場にいる真鍋編集委員には理解できないことかもしれません。

 

労組目線の政党を支持する “弱い立場の労働者” はいない

 しかし、真鍋編集委員や野党支持者は「労働者である若者まで、なぜ労働者を搾取する企業が支援する自民党を支持するのか」と不思議に思っているでしょう。これも説明することは可能です。

 なぜなら、野党を支持する労働組合が “若い世代の労働者” の味方ではないからです。

  • 野党を支持する労組の組合員
    • 中高年の正社員が主力
    • 年功序列で高給を得ている
    • 解雇4要件があるため、失職の可能性は極めて低い

 日本の人口構成は50歳台・60歳台の人口が多く、就業人口にも相関関係として現れています。そのため、労組もマジョリティーである “定年の近い組合員” に配慮した要求をすることになるのですが、これが若者が置かれている立場と全く異なっているのです。

 若い世代の労働者を搾取する政策を要求する労働組合が支持する政党を若者が支持することはないでしょう。この現実を理解できていないことはあまりに致命的です。

 

既存メディアが情報を意図的に隠しても、デジタル・ネイティブの若者は一次情報にアクセスできる

 また、「既存メディアの姑息な情報操作が “デジタル・ネイティブ” である若者世代には通用しない」という現実を軽視することはできません。

 朝日新聞や野党は『森友・加計問題』で安倍政権に対するバッシングキャンペーンを展開しました。テレビや新聞だけを情報源にしている人は「朝日新聞などが望む結論」に納得したことでしょう。

 しかし、ネットを駆使することができる若者世代は「既存メディアが意図的に隠す情報」にも容易にアクセスしてしまいます。一次情報を紹介するツイートや情報を分かりやすく整理したサイトが “バズる” のです。

 しかも、ネットでは「既存メディアが意図的に情報を切り貼りしている」ことは周知事項です。そのため、“既存メディアのみの情報” から導き出される結論を若者が導き出さないことは当然であると言えるでしょう。

 

 そもそも、「自分たちが若い頃に反政府運動をしてきた」という理由で、「現在の若者も、反政府の立場であるに違いない」と決めつけることが間違いなのです。

 このような目の曇った人々が状況分析を行うから、野党の支持が伸びないのでしょう。その結果、「安倍1強」が維持されることになるのです。シビアに分析できない現状を変えることが必要と言えるのではないでしょうか。