『日本人横綱』と『モンゴル人横綱』の評価基準にあからさまな差を付ける横綱審議委員会に存在価値は見当たらない
1月28日に行われた横綱審議委員会で、1月場所を球場した白鵬や鶴竜に対して「大怪我を負ったようには見えない」との疑問の声が出たことを日本テレビが報じています。
この横審の姿勢は論外です。なぜなら、日本人横綱である稀勢の里への対処と比べて明らかな違いがあるからです。「『横綱の品格』を汚す張本人は横審」と言わざるを得ないでしょう。
大相撲初場所を終え、28日午後、横綱審議委員会が行われ、休場した白鵬・鶴竜に意見が出された。北村委員長は「大ケガをしたように外から見えない。力が落ちてきたという意見はあります」と述べた。
「大怪我をしたように見えない」との発言したのは宮田亮平・文化庁長官です。宮田氏は2010年から横綱審議委員会の委員を務める “最古参メンバー” の1人であり、今回の発言は問題視されるべきものと言えるでしょう。
なぜなら、稀勢の里への対応を比較すると明らかにダブルスタンダードになっているからです。
稀勢の里は「体調優先」と擁護し、モンゴル人横綱には「大怪我をしたようには見えない」と文句を言う横審
「横綱審議委員会が横綱の品格を汚している」と主張する根拠は『日本人横綱』と『モンゴル人横綱』への対応に露骨なまでの差があるからです。
横審が審議する対象は『横綱』です。つまり、『横綱』を “1つの評価基準” で審議することが求められているのであって、日本人横綱と外国人横綱を “別の基準” で審議することは求められていません。
しかし、現状は『日本人横綱・審議委員会』と『外国人横綱・審議委員会』が存在しているかのような対処を行っているのです。これは問題視せざるを得ないでしょう。
宮田亮平委員は7場所連続休場中の稀勢の里に「体調優先は全員一致。(完治するまで)待ちたい」と2018年5月場所の後に発言しています。その一方で、モンゴル人横綱には「大怪我をしたようには見えない」と文句を言っているのです。
稀勢の里も大怪我をしたようには見えなかったですし、本人も引退するまで怪我の状態については一切言及しませんでした。つまり、稀勢の里を甘やかし切った横審の委員に白鵬や鶴竜のコンディションに対して疑義を呈する資格はないのです。
横審の役割を何も果たせていないと言わざるを得ないでしょう。
“日本人横綱” で興行を成功させたい強い思惑があるのは日本相撲協会
横審は稀勢の里を「ファンのために頑張った立派な横綱」と労っていますが、ファンを大切にしているのは稀勢の里だけではありません。
今場所(= 平成31年の初場所)を制した玉鷲は所属する片男波部屋が九州場所で宿舎を構える朝倉市が豪雨被害に見舞われてから、被災地を励ますことへの注力度が増すなどファンを大切にしています。玉鷲のようにファンを大切する力士は他にもいるのです。
また、白鵬や鶴竜がファンを大切にしていないなら、横綱審議委員会は「綱の品格を汚す行為は慎まなければならない」と指導しなければなりません。それが横審の役割です。
白鵬や鶴竜のファン対応に何も苦言が呈されていないのですから、稀勢の里を褒める理由が「ファンを大切にする」しか見当たらない現状を哀れむべきと言えるでしょう。
横綱は「強さ」だけでありませんが、そもそも「強さ」がなければ話になりません。稀勢の里を『内規』とは異なる理由で誕生させた横審は “同じロジック” を用いて引退勧告をすべきでした。それを怠ったのですから、興行の目玉に『日本人横綱』を利用していただけと言わざるを得ません。
横綱として強さを維持できない力士を『横綱』として擁護するほど、横綱の品位が損なわれるのです。
稀勢の里のために基準を下げ続けて擁護し続けた横審の現委員に、白鵬や鶴竜に稀勢の里以上の要求をする資格はありません。まずは横審の委員全員を総入れ替えすることが相撲人気回復の起爆剤になると言えるのではないでしょうか。