左翼政権の樹立を目論む民主党支持者がスタバ前会長の「2020年アメリカ大統領選出馬意欲」に猛反発を起こす

 世界的なカフェチェーンであるスターバックスのハワード・シュルツ前会長が2020年のアメリカ大統領選挙に独立系候補として出馬する意欲を示したことに対し、民主党の支持者が猛反発を起こしていると朝日新聞が報じています。

 シュルツ氏が立候補すると、中道左派系に位置するリベラル票が割れることは濃厚です。民主党は急進左派(≒ 極左)色を強めて中道層からの乖離が進んでいることから、左翼政権樹立を目指す支持者が猛反発するのは当然の流れと言えるでしょう。

 

 米スターバックスを世界的なカフェチェーンに育て上げたハワード・シュルツ前会長(65)が、2020年大統領選に政党に属しない独立系候補として立候補することに意欲を示した。

 (中略)

 「反トランプ氏票」が分散することを危惧する民主党支持者は猛反発。28日にニューヨークであったシュルツ氏の出版イベントでは、参加者が「トランプ氏の再選を助けるな。お前は独りよがりの億万長者だ」と叫んだ。ネット上でも「トランプ氏の再選につながるお金は払いたくない」として、スターバックスの不買運動を訴える呼びかけが相次いでいる。

 ハワード・シュルツ氏は「民主党支持者」です。そのため、大統領選を狙うのであれば、「民主党の候補として『民主党の予備選』を戦うことが定石」です。

 しかし、その選択肢ではなく、“独立系の候補” として大統領選に出馬する意欲を示したのです。この点が注目すべきことと言えるでしょう。

 

2020年のアメリカ大統領選は「トランプ大統領 vs 急進左派の民主党候補」の予想

 アメリカ大統領選挙は「全米各州の選挙人の獲得数を競う争い」です。アメリカ国内で生まれた35歳以上のアメリカ人に被選挙権があり、共和党や民主党に所属していなくても出馬は可能です。

 ただ、全米各州の選挙人を獲得するための選挙運動を行うには多額の選挙資金が必要となるため、二大政党の候補者ではない独立系の候補者に有力候補がいることは極めて稀と言えるでしょう。そのため、共和党と民主党の一騎討ちになるのです。

 2020年のアメリカ大統領選では共和党は “現職のトランプ大統領” が出馬します。一方で、民主党は支持者が左翼主義に傾倒しているため、急進左派系の強い候補が予備選を勝ち上がってくると予想されます。

 つまり、「トランプ大統領か急進左派候補のどちらか」を選ぶ二者択一が有権者に迫られることになる可能性があるのです。そのため、シュルツ氏が出馬に意欲を示したのでしょう。

 

中道色を出すことが予想されるシュルツ氏の出馬による影響は民主党の方が大きいと予想される

 仮に、ハワード・シュルツ氏が独立系候補として大統領選に出馬すると、政治的な立場は「中道」を示すことでしょう。

 トランプ大統領はメディアによって「自国優先主義が強すぎる人物」と色づけされていますし、民主党の候補は「左翼色が強い人物」が選出されており、“穏健派” と目される候補が不在であると予想されるからです。

 そのため、中道の立場を強調する方針を採ることで「第三の選択肢」になる上、得票数を伸ばすことが期待できます。有力候補が不在になると予想されるのですから、シュルツ氏が狙うであろうと見られている方向性は適切と言えるはずです。

 この方針に民主党支持者が猛反発するのは「民主党系候補の得票数が奪われる」からでしょう。民主党支持のシュルツ氏が出馬すれば、中道左派と中道右派の有権者が主要な票田となり、左派系の方から流れる支持者が多くなるはずです。

 『反トランプ』の “受け皿” を左翼候補だけにしておくことで、急進左派政権の樹立を目論む民主党支持者からすれば、シュルツ氏の出馬は迷惑極まりないものです。このような思惑があるなら、中道系の候補が出馬に意欲を示しただけでも反発を示しているのでしょう。

 

トランプ大統領は「シュルツに大統領選に出馬するガッツはない」とツイッター上で煽る

 民主党支持者がハワード・シュルツ氏の出馬意欲に反発を示す中、トランプ大統領は「彼に大統領選を戦う “ガッツ” はない」とツイートし、煽っています。

画像:トランプ大統領のツイート

 シュルツ氏の「私は “最も知的な人物” ではない」との見解に賛同し、「アメリカは既に持っている(= それは私自身だ)」とした上で、「トランプタワーの賃料を払い続けてくれよ」と皮肉を込めているのです。

 プロモーション戦略に長けたトランプ大統領らしいツイートを言えるでしょう。また、選挙戦略としても「的を得ている」と言わざるを得ません。

 中道系と目されるシュルツ氏が大統領選挙に出馬すれば、共和党の穏健派からも票が流れ出すと考えられます。しかし、民主党支持者であるシュルツ氏への乗り換えにはブレーキをかける共和党の有権者もいるため、流出は限定的と想定できるのです。

 むしろ、民主党の穏健派(≒ 中道左派)路線を支持する有権者層を切り崩してくれる候補者になる可能性が高い訳ですから、民主党を揺さぶるという意味でも非常に効果的な動きと言えるでしょう。

 

 億万長者が独立系の候補として、大統領選挙への出馬に意欲を示しただけで猛反発すること自体がマイナスなのです。「様々な考えを持った人が出馬することは素晴らしい」と歓迎の意を示すことが『リベラルの価値観』であるはずです。

 ですが、現状では「反トランプの目標を最優先すべき」との同調圧力に出ている勢力があるのですから、リベラル派への支持が薄れて行くのは自然な流れです。

 資金力のある著名人が独立系候補としての出馬意欲を示しただけで過剰反応を示す民主党支持者は「自らが選出する候補者に問題あり」と認めているも同然です。むしろ、シュルツ氏に民主党の大統領候補として出馬を要請し、中道層の有権者を引き込むべきと言えるのではないでしょうか。