サッカー日本代表の森保監督が3バック継続に意欲を示すも、試合状況に応じた併用は「4バック時の主力選手」が “足かせ” になるだろう
サッカー日本代表の森保監督が親善試合・エルサルバドル戦を前に行った公式会見で「3バックの続投」を宣言したと日刊スポーツが報じています。
4-2-3-1 と 3-4-2-1 の併用は西野前監督がロシアW杯の前にチャレンジしようとしていたことです。ただ、“人気選手” の存在もあり、両方のフォーメーションで併用できる選手を主力にすることはできませんでした。
「試合状況に応じた併用」が最も効果的であることを踏まえると、「選手の序列」が大きな問題となるでしょう。
「システムでサッカーするわけではないですけど、4バック、3バックと多少ポジションが違う中、W杯予選、この先のいろいろな戦いの中で臨機応変に、状況に合わせて変化をつけられれば」と、広島時代から愛用する陣形を新たなオプションにしたい思いを、率直に言葉にした。
森保監督の結果を残している形は 4-2-3-1 です。攻撃を担う選手も1トップの大迫選手と2列目の堂安・南野・中島の3選手で固定されており、攻撃の幅をどれだけ持てるかが鍵になることは明らかです。
そのため、3バック(= 3-4-2-1)が選択肢になっているのでしょう。しかし、3バックが機能するには超えなければならない課題があるため、それを解決できるかがポイントと言えるでしょう。
3バックにすると、攻撃の枚数が単純に1枚減ってしまう
森保監督が3バックを初めて起用したトリニダード・トバゴ戦で露呈した問題は「攻撃時の人数不足」でしょう。この原因は「フォーメーション」にあります。
4-2-3-1 では攻撃のタスクを担うのは「1トップ」と「2列目の3選手」の計4選手です。一方で、3-4-2-1 の場合は「1トップ」と「2列目の2選手」の3選手で、4バックの時よりも1人少ない状況です。
そのため、3列目を基本ポジションにしている選手が “状況に応じて” 攻撃に参加する必要があるのです。
具体的には「ボランチの選手が『偽トップ下』としてプレー」したり、「ウィングバックの選手が『偽サイドアタッカー』としてプレー」したりすることが要求されます。チームとして戦術的に意思疎通ができていれば、絶大な効果を期待できるでしょう。
ただ、無秩序に攻め上がってしまうとカウンターなどで大ピンチを招いてしまいます。「リスク管理を踏まえて攻守にバランスを保つことができるか」が重要ポイントと言えるはずです。
「4-2-3-1 と 3-4-2-1 を併用」は西野監督時代にも試みたことがある
日本代表が「4バックと3バックの併用」を掲げたのは森保監督が初めてではありません。前任の西野監督もチャレンジしているからです。
しかし、この時はハリルホジッチ監督を切る理由となった “主力選手” を起用する必要があったため、挑戦は頓挫しています。したがって、「システム的に合わないこと」を理由に主力選手の序列を下げることができるかが鍵になります。
- 4-2-3-1
- DF: 酒井宏、CB-1、CB-2、佐々木(槙野)
- DMF: 柴崎、DMF-1
- OMF: 堂安、OMF-1、中島
- FW: 大迫
- 3-4-2-1
- DF: CB-1、CB-2、佐々木(槙野)
- WB / MF: 酒井宏、柴崎、MF-1、OMF-1
- OMF: 堂安、中島
- FW: 大迫
状況に応じて試合中にフォーメーションを柔軟に変更できる方が相手チームは対応が困難になります。森保監督が選出する代表選手を踏まえると、上記の選手が基本になるでしょう。
「4バックと3バックの併用」をするなら、長友選手の序列は下げざるを得ません。理由は「3人目のセンターバックとして守備力が計算できる選手」が実質的に限られているからです。これができないのであれば、「試合中の併用」は断念すべきと言えるでしょう。
代表チームでは練習に費やせる時間が限られる上、選手の入れ替わりも頻繁に発生します。「3バックを機能させる」ためには時間が必要ですし、「3バックの利用目的」をチーム内で明確にしておかなければ、迷いが生じる原因にもなります。
森保監督がどういった狙いを持ち、それをチームに効率的に落とし込むことができるのかが注目点と言えるのではないでしょうか。