サッカー日本代表、コパ・アメリカでチリに完敗 チームの抱える課題が世界レベルで浮き彫りになる

 ブラジルで行われているコパ・アメリカに参加しているサッカー日本代表はチリ代表と対戦し、0-4 で敗れたと NHK が伝えています。

 格上のチームを相手に「東京五輪を狙うメンバーが主体の日本代表」が敗れることは想定内でしょう。ただ、W杯を狙うためには「修正する必要がある課題」が浮き彫りになったことも事実です。

 これを修正できるかが2戦目以降の注目点と言えるでしょう。

 

 サッカー日本代表は、招待を受けた南米王者を決める大会「コパアメリカ」で1次リーグ初戦に臨み、3連覇をねらうチリに0対4で完敗しました。

 (中略)

 試合は、前半41分にチリのプルガール選手にヘディングシュートで先制点を奪われ、後半も速いパスワークやミスを見逃さない正確な攻めで、3点を追加されました。

 

前半20分すぎに中山雄太がイエローカードをもらった後、試合の流れが大きく変わった

 試合の流れを見ますと、前半20分すぎにボランチでプレーしていた中山雄太選手がイエローカードをもらったことが大きな転換点になったと言えるでしょう。

  • チリ代表は「慎重な入り」を選択したため、攻勢はそれほど強くなかった
  • 中山選手が「潰しに積極的」だったため、チリ代表は中央を効果的に使えなかった

 日本代表が「前半25分頃までは良い内容」だったのは上記2点が理由です。チリ代表が相手の出方を見るために慎重だったことと中盤で中山選手のチェックが効いていたからです。

 ところが、中山選手がカードを1枚受けたことで、厳しいチェックを自重。「縦パスを切るポジショニング」を重点的にしたため、ボランチの前でボールを引き出され、攻撃の起点を作られたことで波状攻撃を受ける要因になってしまったのです。

 それを防ぐためにボランチがポジションを上げると、今度はボランチの背後を突かれるなどチリ代表は巧さを見せました。この点は反省材料にする必要があるでしょう。

 

中島翔哉の “王様プレー” をどこまで容認するのか

 チリ代表との試合で大敗の原因となったのは「中島翔哉選手の緩慢な守備」です。アジアレベルでは黙認できたとしても、W杯での躍進を目標に掲げるなら、要改善ポイントと言えるでしょう。

  • 中島選手の長所
    • 攻撃への積極性
    • 1対1でのドリブルで相手を剥がせる突破力
  • 中島選手の課題
    • 守備に極めて消極的
      → 自陣に戻らないため、左サイドが数的不利に陥る
    • ドリブルの突破力はあるが、2人以上の複数で対処すれば止められる
    • 単独突破に固執しすぎる傾向があり、周囲との連携が少ない

 中島選手は自らのドリブル突破力で「左サイドの王様」という立ち位置を固めつつあります。ただ、それによる “弊害” がチリ代表戦では如実に現れる結果となりました。

 W杯出場権を得るためのアジア予選では守備をサボる選手がしても、周囲の選手たちで十分にカバーできるでしょう。しかし、W杯本大会で対戦する強豪チームとの試合では緩慢な守備が致命傷になりがちです。

 この部分も改善の必要があるはずです。

 

「攻撃的なサイドの選手も守備を免除される」という “悪しき風習” を断ち切るべき

 圧倒的な個の能力を持つ選手を複数擁しているのではない日本代表は組織を機能させる必要があるのですが、簡単なことではありません。なぜなら、“守備を免除される選手” が奇妙だからです。

  • 一般的なチーム
    • センターフォワードかトップ下
    • 最大で2選手
  • 日本代表
    • トップ下とサイドの攻撃的な選手
    • センターフォワードに守備のタスクが課される

 ほとんどのチームは「相手ゴールに近い中央の選手」の守備を免除しています。これは「守備網に穴が開くことを防ぐ」という理由があるからです。

 しかし、日本代表は「トップ下とサイドの攻撃的な選手」が対象になっています。以前は「香川選手と本田選手の守備が免除され、岡崎選手が守備に奔走」していました。

 今大会では「中島選手と久保選手の守備が免除されている傾向」にあり、これは “悪しき風習” として是正の対象にすべきでしょう。

 サイドで守備をサボる選手がいると、そのサイドで数的不利が発生しやすくなり、波状攻撃を受ける原因になってしまうことが理由です。

 

 一朝一夕でできないことを要求するのはナンセンスですが、上記で指摘した問題点は第2戦目のウルグアイ戦で改善を示すことが可能な内容です。森保監督が指揮官としての手腕を示すことができるのかが注目点と言えるのではないでしょうか。