大阪・吹田の交番襲撃事件:容疑者とその家族に対するメディアスクラムを発動しなければ、メディア不信は払拭されないだろう
大阪・吹田市の交番前で巡査が刺された事件で逮捕された男が容疑を否認していると NHK が報じています。
メディアが喜んで飛びつく事件ですが、今回は自然にフェードアウトすることでしょう。容疑者自身が「マスコミ勤務歴」と「精神障害の手帳」を持ち、容疑者の父親は「在阪キー局の常務」だからです。
「父親である関テレ常務が謝罪する必要はない」との意見がありますが、これまでマスコミは法的に無関係な加害者家族にまで謝罪を要求して来たのです。今回の事件でも一貫した態度を続けなければ、メディア批判は強まることになるでしょう。
逮捕されたのは、東京 品川区の飯森裕次郎容疑者(33)です。
(中略)
飯森容疑者の所持品の中には、現金10万円や精神障害者保健福祉手帳、それに逃走中に購入したズボンや携帯充電器などがありましたが、スマートフォンの電源は入っていなかったということです。
飯森容疑者は、警察の調べに対して、「私のやったことではありません。私が思うのは病気がひどくなったせいです。周りの人がひどくなったせいです」と供述し、容疑を否認しているということです。
わずか半年間の海自所属歴を強調するマスコミ
マスコミの報道姿勢で姑息なのは「容疑者が持つ半年間の海自所属歴」を強調していることでしょう。職歴で言えば、岩手めんこいテレビ(フジテレビ系列)の方が長いですし、現職はゴルフ場勤務です。
メディアが日頃から咎めている「警察官」や「自衛隊」に問題を責任転嫁しているのです。「姑息」と言わざるを得ません。
事件を報じるなら、中立的な第三者の視点で報道しなければ意味がありません。「自分たちは高貴である」との思い込みが先走り、偏向報道を続けるようでは信頼を低下させて当然と言えるでしょう。
「精神障害の手帳を持つ容疑者」と「容疑者の父は関西テレビ常務」という “放送自粛要因”
今回の事件は「普段よりも強く放送自粛が働くことになる」でしょう。なぜなら、容疑者自身が精神障害の手帳を保持しています。刑事責任を問えない(≒ 無罪になる)可能性がある訳ですから、自粛が働く動機になると言えるでしょう。
また、容疑者の父は「関西テレビ(= フジテレビ系列の在阪キー局)の常務」です。
容疑者の家族宅にも取材に押しかけることが一般的となっていますが、今回はそのようなメディアスクラムが起きる可能性は低いと考えられます。
これは「フジテレビ系列から今後の事件で同様の取材を受ける」との “恐れ” が現実的にありますし、『身内を庇う体質』が根付いています。アリバイ程度に事件を報じるだけで「役目は果たした」と開き直ることが可能ですし、「家族への取材攻勢には疑問が残る」と過去の取材方針を棚に上げて擁護に走ることでしょう。
関テレ常務の飯森睦尚氏はマスコミが頻繁に用いる “社会的責任の取り方” を世間に示す責務がある
成人している子供の責任を親が取る必要はありません。しかし、今回のケースは容疑者である親が “社会的責任” を取らなければなりません。
なぜなら、容疑者やその親が勤務するマスコミが「そうするべきだ」と主張して来た経緯があるからです。
他者に対して「社会的責任を取るべき」と要求し、『世間を騒がせた罪』を断罪して来ました。したがって、関西テレビの常務である飯森睦尚氏は自ら進んで “ギロチン台” に立つことは責務なのです。
ギロチン台での処刑を前に「無関係の家族を巻き添えにするメディアスクラムは私で最後にして欲しい」との詫びを残し、“社会的責任” を取って初めて「報道姿勢の見直し論」が意味を持つのです。
現状では「自分たちが同様の取材攻勢を受けないためのマスコミ業界による保身」に過ぎないと言えるでしょう。だから、メディアに対する反発が起き、マスコミ不信が深刻になるのです。
自分たちが取材対象となった際に “手心” を加えて批判を逸らそうとする姿勢は批判を引き起こす原因となります。マスコミが「容疑者の家族をも断罪する社会」を希望したのです。方針転換を図るのなら、自分たちも断罪の対象となるか、自らの非を全面的に認めるかのどちらかでしょう。
一方的なバッシングを長く行ってきたため、マスコミに対する鬱憤はかなり溜まっているのです。これを甘く見るのではなく、飯森睦尚氏が “生贄” という形で方針転換を訴えるべきと言えるのではないでしょうか。