韓国のフラッグ・キャリアである大韓航空、日本ボイコット運動の煽りを受けて設立以来初となる無給休職希望者の募集を開始

 朝鮮日報によりますと、大韓航空が会社設立以来初めてとなる「無給希望休職制度の実施」を発表したとのことです。

 これは「会社に籍はあるものの給与は支払われない」というものです。解雇に極めて近い形態であるため、大韓航空の経営状況は厳しい立場にあると言うことができるでしょう。

 

 大韓航空は14日、会社設立以来初めて、3カ月の短期無給希望休職制度を実施すると発表した。

 (中略)

 大韓航空は「仕事と家庭の両立を支援するもので、業務文化改善の一環だ」と説明しているが、業界からはコスト削減が背景にあると分析している。大韓航空は4-6月期に営業損益が1015億ウォン(約93億円)の赤字となり、日本旅行ボイコット運動が本格化した7-9月期にも営業利益は前年同期比で30%以上減少すると見込まれている。

 航空業界関係者は、大韓航空が支出する固定費用のうち、燃料費(25.6%)が最も多く、人件費(20.9%)がそれに続いており、無給休職である程度人件費を節減できるとみている。

 

利用客の少ないフライト」を行うほど、航空会社の赤字額は増加する

 航空会社の売上高は大部分を運賃収入が占めるでしょう。つまり、利用客の多い “ドル箱路線” でどれだけ自社の航空機を効率的に飛ばすことができるのかが収益面での鍵となります。

 反対に赤字額が大きくなるのは「平均搭乗率の悪い路線」です。

 これは飛行機を運用するために必要となるコストが同じだからです。満席のフライドでも、ガラガラのフライトでも機体整備を行うスタッフや飛行業務に携わるスタッフの人件費は同じです。

 人件費や燃料費などのコスト部分は搭乗率によって大きく変化しません。しかし、売上高は露骨なまでに変化してしまいます。そのため、搭乗率が目に見えて悪化する事象に見舞われた大韓航空は “荒技” を繰り出すことになったのでしょう。

 

(韓国の)フラッグ・キャリアが「無給休職の希望者」を募集したことによるインパクトは大きい

 『日本ボイコット運動』が続く韓国では LCC の経営が苦しくなり、無給休職希望者を募集する事態となっていました。

 一方でフルサービスを提供する航空会社は「ビジネス客」などをメインにしているため、営業利益が少し落ち込む程度で持ちこたえる可能性があったと言えるでしょう。しかし、韓国ではフラッグ・キャリアである大韓航空が無給希望休職制度を利用することになりました。

 これは「運行便の本数そのものを減らす」という荒技を繰り出すために不可避なことであり、大韓航空の経営環境は相当悪いと言う根拠になります。

 国を代表するフラッグ・キャリアが苦しむ経営環境なのですから、同業他社は少なくとも同様に苦境に立たされているはずです。

 韓国で盛り上がっている『日本ボイコット運動』で日本企業ではなく、韓国人を多く雇用する韓国企業が苦しんでいるのですから、本末転倒と言わざるを得ないでしょう。

 

ムン・ジェイン大統領の経済政策にボイコット運動が “ダブルパンチ” で加わる悪循環

 日本線の搭乗率が悪化したとしても、他の路線が堅調に推移していれば経営が痛手を被るまでには至りません。しかし、無給休職の希望者を募るまでになっているのですから、全体が落ち込んでいると言えるでしょう。

 原因はムン・ジェイン大統領が最低賃金を実態以上に(強引に)引き上げたことが大きな割合を占めています。

 最低賃金を強制的に引き上げると、最低賃金に近い水準で働く人々が解雇されるリスクが極端に上昇します。解雇のリスクが少ない正社員は「最低賃金が上がったから、我々の給与を上げろ」と要求できますが、それは一部の例外です。

 なぜなら、それだけ既得権益層の発言力が強くなり、新卒採用などの枠が狭まることでバランスが保たれることになるからです。

 つまり、ムン・ジェイン政権の不味い経済政策で韓国経済は失速傾向にありました。そこに『日本ボイコット』を憂さ晴らしの感覚で始めてしまったことで、財布の紐を締める形となり、経済の落ち込みに拍車をかけてしまったのです。

 日本には「自業自得」に映る訳ですから、冷めた目で見られることでしょう。韓国の振る舞いは反面教師として活用すべきと言えるのではないでしょうか。