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豊洲市場で検出された微量のヒ素は全国レベルのニュースには該当しない

社会

 築地市場の移転先である豊洲市場の地下に溜まっていた水から微量のヒ素が検出されたと朝日新聞など一部のメディアが問題として煽る報道姿勢を見せています。

 調査を行った共産党都議団も同じ方針のようですが、科学知識の乏しさを露呈するだけです。全国レベルのニュースにする価値もなければ、首都圏ローカルの価値もないことが実情だからです。

 

 豊洲市場(東京都江東区)の建物の地下にたまっていた水について、都は17日、水質調査結果を発表した。環境基準を下回る微量のヒ素と六価クロムが検出されたが、ベンゼンやシアン化合物などは検出されなかった。

 (中略)

 結果によると、ヒ素は環境基準(1リットルあたり0・01ミリグラム)に対し最大で0・003ミリグラム、六価クロムは基準(1リットルあたり0・05ミリグラム)に対し0・005ミリグラムがそれぞれ検出された。

 

 特に注目すべき点は “微量のヒ素” として報じられた数値がどのぐらい影響を及ぼすかということでしょう。

 そもそも、ヒ素は自然界に普通に存在する物質であり、温泉水などに多く含まれています。ヒ素の濃度が高い川として吾妻川(群馬県)が存在します。

 実際に吾妻川で観測されている数値と今回の豊洲市場で観測された数値を比較する必要があります。

 

表1:ヒ素濃度の比較(単位:mg / L)
観測場所観測値
環境基準値 0.01以下
吾妻川(吾妻橋)
〔平成21年度〕
0.005
豊洲市場(地下) 最大0.003
水道水の原水
〔平成21年度:水質検査結果〕
0.001
〜 0.003

 今回、豊洲市場の地下に溜まっていた水に含まれるヒ素は最大で 0.003 mg/L。これは水道水の原水に含まれるヒ素と同じ値なのです。

 もちろん、原水は浄水場で処理され、ヒ素は検出限界(0.001 mg/L 未満)を下回る値になってから各消費者へ配水されます。しかし、浄水前の原水と同じ値であることを強調し、問題視することは明らかに茶番と言えるでしょう。

 また、農水省では『食品に含まれるヒ素の実態調査』として、具体的な値を公表しています。コメや野菜でもヒ素は検出されているのです。この点に触れることなく、豊洲市場の件だけを騒ぎ立てるのはナンセンスなことです。

 

 コンクリートに水を貯めれば、強アルカリ性になります。酸性だと配管などが錆びて劣化するのですから、アルカリ性になるようにすることは真っ当な選択です。

 「難しい」という理由で科学的な知識を軽視することは問題です。特に、専門的な知識が乏しい一般社会に対し、それに迎合するようではメディアの自殺となるでしょう。言葉のプロフェッショナルとして、分かりやすい表現で説明することにメディアとしての価値が存在するからです。

 取材力に優れていたとしても、正しい情報や事実を報じられないメディアは損害をもたらすだけになるのではないでしょうか。