トランプJrのツイートが物議を醸したのは事実が含まれているからだ

 ドナルド・トランプ氏の長男がシリアの難民問題を毒入り菓子に例えてツイートしたことが物議を醸していると『AFP通信』が報じています。

 「物議を醸している」のは賛否両論があるからであり、仮にトランプ・ジュニア氏の投稿が事実と異なるのであれば「大きな批判を受けている」と記事で厳しく糾弾されていたことでしょう。

 

 米ニューヨーク(New York)市とニュージャージー(New Jersey)州で連続爆破事件が発生したことを受け、大統領選の共和党候補、ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏の長男が、シリア難民を毒入り菓子になぞらえるメッセージをツイッター(Twitter)に投稿し、物議を醸している。

 

 物議を醸しているツイートは以下のものです。

画像:ドナルド・トランプ・ジュニア氏によるツイート

 「この画像がすべてを示している。ポリティカル・コレクトネスは終わりにしよう」というメッセージとともに画像をアップしています。

 私がボウル満杯の『スキットルズ』を持っていたとして、あなたにこの中の3粒は致死性があるものが混ざっていると伝えたとしよう。手にいっぱいの『スキットルズ』を持っていくかい?

 これがシリア難民問題だ。

 

 トランプ・ジュニア氏による指摘は事実です。この意見に対し、差別を理由にバッシングをする勢力が存在するのであれば、そうした主張を掲げる人物こそが差別主義者であると断言しなければなりません。

 安全な国としてイメージされる国であっても、不届きな輩は必ず存在します。日本でもそうですし、リベラルからの評価が高い北欧諸国でも同じことです。

 何十万人、何百万人という単位でみれば、“毒入り菓子” に例えられるほどの問題を持った人物が存在して当然なのです。そのことすら指摘できないのであれば、『言論の自由』はどこに行ってしまったのでしょうか。

 受け入れ国の文化や価値観に合わない “毒” に該当する思想を持った人物も一定数はいるのです。難民という理由でそのような危険人物をノーチェックで受け入れることを求めるなど、治安に対する意識があまりに軽薄だと言わざるを得ません。

 

 また、難民問題については難民自身が受け入れ国とは異なる文化圏で価値観を形成したため、『スキットルズ』のように均質ではないことも問題として浮かぶ上がることになるでしょう。

 この点については「卵の安全」に対する考え方の違いに近いものがあります。

  • イギリス:卵を洗浄してはならない
  • アメリカ:卵を洗浄・消毒しなければならない
  • 日本:卵を洗浄しなければならない、親鶏へサルモネラワクチンの予防接種と抗生物質入りの餌を与える

 卵はサルモネラ菌による食中毒のリスクがあるため、どの国も対策を設けていますが、内容は異なっています。特に、生卵を食べる文化のある日本は欧米と基準とは別の対策が不可欠です。また、イギリスでは卵を洗浄すると違法ですが、アメリカでは洗浄しないと違法なのです。

 もし「同じ卵なのだから、消費者の手に入るまでにどういった処理が行われたかは重要項目ではない」という主張がまかり通れば、食中毒患者が急増することでしょう。したがって、ルールに沿った運用が不可欠になってくるのです。

 

 難民についても同じです。受け入れ国側にはすでに育まれ、運用されてきた文化や価値観が存在するのです。

 「難民だから」という理由は免罪符にはなりません。難民であれば、守らなければならないルールは遵守しなければならないのです。受け入れ国の治安や社会保障システムにタダ乗りを許すようでは反発を招く要因にしかならないでしょう。

 “被害者ビジネス” を野放しにして喜ぶのは支援団体やそれを報じるメディアぐらいです。責任を負うことのない気楽な立場なのですから、彼らからの要望を受け入れるメリットがないことを自覚する必要があるのではないでしょうか。