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民進党は教育を無償化しても、雇用がなければ意味のないことを学ぶべきだ

政治

 民進党が次の衆院選に向けた公約として「大学までの教育無償化」を明示する方針を固めたとNHKが伝えています。

 この政策は民主党時代に掲げた「コンクリートから人へ」という政策の繰り返しになるでしょう。なぜなら、大卒者を増やすだけでは何の効果も生まれないからです。

 

 骨格案は、安倍政権の経済政策を根本的に見直して、子どもや若者、それに女性に重点を置いた「人への投資」に転換するとしていて、幼稚園などの就学前教育の費用や、小・中学校の給食費、それに大学の入学金や授業料などを無償化することで、「教育の無償化」を実現するとしています。

 そのうえで、必要となる財源として、子どもに関する施策に使いみちを限定した「子ども国債」という新たな国債発行による収入や、所得税の配偶者控除を原則として廃止することによる増収分、それに消費税率を10%に引き上げた際の1%分の税収などを明示しています。

 

 

 民進党による「大学までの教育費無償化政策」で恩恵を受けるのは大学経営者や教員・事務員といった人々に限定されます。

 無償化する予算は『国債』としているのですから、要するに “将来世代からの前借り” です。しかし、全員が将来から教育資金を前借りしても、返却に困窮する人々が出てくることは火を見るよりも明らかです。

 なぜなら、大学を卒業したことに見合う就職先を見つけられなければ、教育費はマイナスになるからです。「大卒だから」という理由だけで高給を提示してくれる企業はまずありません。つまり、雇用する企業のニーズにあった学生でなければ、職を得ることはできないという当たり前のことを見落としてしまっているのです。

 大卒の資格を全員に与えたところで、“就職氷河期” を再来させてしまっては意味がないことを深刻に捉えなければなりません。

 

 現在は「大学全入時代」です。これは大学名にこだわらないのであれば、誰でも大卒資格を得られることを意味します。

 そのため、教員・学生の質が極端に悪化していることが “Fラン” の大学を中心に問題として取りざたされるケースが増えています。この状況下で、大学に資金を投下することは損失を拡大させる要因となる訳ですから、判断が間違っていると言えるでしょう。

 少なくとも、大学無償化を行うのであれば、大学や学部を限定することが必須です。

 「海外の大学は無償化されている」と主張する人々がいますが、該当する大学は “4年制のユニバーシティ” で本当に有能な人材にのみ門戸が開かれているのです。“ユニバーシティ” と “カレッジ” が存在し、誰でも無償で大学に進める訳ではないという大前提を都合良く無視する姿勢は大きな問題であると言わなければなりません。

 

 現状ですら、学生の就職状況は厳しくなっているのです。昔は新卒採用を行い、育成に時間を費やす経営スピードで十分でした。

 しかし、現代は違います。情報伝達経路が多様化し、自分たちのビジネスに必要なノウハウを持った企業を見つけることが容易になりました。その結果、「新卒を育てる暇があるなら、その分野で実績を持つ外部のプロフェッショナルや企業にアウトソーシングする」という選択肢が一般化したのです。

 この流れは学生にとって厳しいものでしょう。つまり、大手優良企業は新卒採用の基準を引き上げ、“ポテンシャル採用” をよりシビアに行うような流れができたのです。

 「仕事を覚えて、結果を出す」という点は学校の勉強と同じです。そのため、高学歴の生徒は従来と同様にチャンスは巡ってくるでしょう。しかし、専門性のニーズが強くなっていることから、人文社会学系の学生は苦労する可能性は大いにあります。

 

 民進党の政策は国会前でデモ活動をする大学関係者にとって最高の内容でしょう。自分たちの雇用を維持するために不可欠なものだからです。

 ですが、民進党は大学生の多くが就職する企業の市場環境に対して、あまりに無関心すぎます。“儲かる仕事” を作ることに熱心ではなく、ズルをして競争環境を歪める企業を市場から退場させようともしない。

 明らかにやるべき政策順序を間違えています。大学発のベンチャー企業を支援するならまだしも、国会前でデモ活動する大学教員の立場を保証するだけの大学無償化政策は賛同できるものではありません。

 雇用を生み出すエリートを育成するために国の税金を使わず、雇用されるかどうかも怪しいFラン学生にまで国の税金をプレゼントすることには反対です。