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清水富美加さんの引退騒動で再び注目された所属事務所(レプロ)のぼったくり体質

社会

 女優の清水富美加さんが芸能界を引退すると発表したことがニュースになっています。

 ただ、主張内容が所属事務所レプロと完全に食い違っており、法廷でのバトルが繰り広げられる可能性があります。“カルト宗教” の側面もある問題ですが、ここでは “労働契約” に焦点を当てたいと思います。

 

 労働内容における両者の主張を整理すると以下のようになります。

  • 清水富美加さんの主張
    • 水着等の仕事はNGだったが入れられた
    • マネージャーはSOSに対応していない
    • 1ヶ月フルに働いても月5万円(ボーナスなし)
  • レプロ側の主張
    • 本人の意向に反する仕事をさせたことはない
    • 週に1度、月に1度はマネージャーと面談を行っていた
    • 適切な報酬を支払ってきた

 

 真っ向から主張内容が対立していますが、「本人の意向に反する仕事を強要されたこと」と「著しく低い賃金報酬」の2点に集約できます。

 『女性の人権』を掲げて活動する人々はレプロに批判の声を上げるべきでしょう。清水富美加さんが嫌がる仕事を強要する一方で、不倫疑惑が報じられたマギーさんを守るなど “女性の敵” と言える振る舞いを平然と行っているからです。

 

1:レプロは反論するなら、根拠を提示すべきだ

 清水富美加さんは “自らの証言” という形で所属事務所のレプロが自分の意向を踏まえずに仕事を入れたと主張しています。

 もし、レプロが主張するようにマネージャーとの面談が定期的に行われていたのであれば、所属事務所がその記録を保持していることでしょう。そのため、「清水富美加さんからのリクエストを満たすためベストを尽くしていた」と証明することは比較的容易なはずです。

 本人の意向を確認した上で所属事務所と話し合いを行い、方向性を一致して芸能活動を続けてきたのであれば問題ありません。

 しかし、その根拠を示すことができないのであれば、批判は止むことはないでしょう。芸能人とマネージャーとの雑談を “面談” と強弁することもできるのです。代理人として振る舞いを見せる所属事務所は在籍時にどういった認識で売り出そうとしていたのかを示すべきです。

 

2:月額5万円の固定給は “適切な給与額” ではない

 給与(待遇)に関する両者の主張の違いは次のようなものです。

表1:清水富美加さんの待遇
清水さん側の主張レプロ側の主張
・月給5万円
 → 1ヶ月フル稼働
・ボーナスなし
・5万円の他に住居費、食費、交通費を払っていた
・現在は20万円強 ・最近は本人が「こんなにもらっていいんですか?」と言うぐらい渡していた

 レプロは能年玲奈さんのケースと同様に「給与は月5万円だったが、住居費・(寮母付きのため)食費・交通費を負担しており、実質的な給与水準は適切」と主張しています。しかし、この主張は “現物支給” に該当すると見なされるリスクがあり、労働基準法24条に違反している可能性があります。

 東京出身の清水富美加さんは実家住まいのまま芸能活動を行うことは可能です。そのため、住居費や食費をレプロが “天引き” のような形で給与から差し引く合理的な理由はありません

 住居費や食費という形でレプロが抜いている額を賃金として全額支払っていれば、地方に住む親御さんも東京で単身赴任できるだけの金額になっている可能性も十分に考えれることです。「入寮する」という選択肢を強要される状況は問題があると見なされることでしょう。

 

3:少ない報酬で満足感を抱かせるのは典型的なブラック企業の手法

 給与が4倍超になったのであれば、「こんなにもらっていいんですか?」という印象を持つでしょう。しかし、給与水準自体が低すぎるため、何の説得力もありません。

 「給与が少なく、休みがない」と「自分が選んだ仕事」という矛盾する2つの考えを解消するため、“やりがいがあって楽しい” と脳が自分自身を騙そうとします。ブラック企業でよく見られる光景ですが、レプロでも限りなく近いことが起きていた可能性は否定できないでしょう。

 CMやドラマ・映画から急遽降板することによって億単位の違約金が発生する状況であったとしても、それを負担するのは所属事務所でしょう。億単位の違約金が生じる仕事に対する報酬が月額20万円強では明らかに割に合っていないからです。

 所属事務所が十分な報酬を支払っていたのであれば、契約を一方的に解除したと思われる清水さんの方が分が悪くなると思われます。しかし、違約金がある場合は目黒駅直結のビル内(16F)にオフィスを構え、月額100万円はするであろうフロアを利用しているレプロが負担すべきなのではないでしょうか。

 

4:ごく一部の芸能人が稼ぎ出す収入で事務所経営を行う “芸能界のビジネスモデル” は限界であることを自覚すべき

 「タレントの育成コストが高い」と所属事務所が感じるなら、青田買いをする対象を限定する方向に舵を切るべきです。“数撃ちゃ当たる” 的に囲い込みを行い、低すぎる給与水準を維持することに注力するあまり、矛盾が生じていると言えるでしょう。

 ごく一部の仕事を取ることができる芸能人の収益で事務所の運転資金から “芸能人の卵” を囲い込むための資金まで捻出するのは無理があることです。

 サッカーのように移籍金(=実際は契約解除金)を設定することは現実的な解決案の1つだと思われます。ですが、“飼い殺し” のリスクを避ける目的での FIFA 17条ルールがありますので、そうしたルールを芸能所属事務所が契約に盛り込まない限り、現実味を帯びることはないでしょう。

 芸能界では裁判沙汰になると地殻変動が起きる危ない契約が横行していることはテレビでフォローする内容のコメントを発する芸能人がいることからも感じ取ることができます。

 清水富美加さんが裁判という形で “芸能界のボスマン判決” を勝ち取ることになれば、歴史に名前を残すことになるでしょう。闇の部分に光を当てる動きをして欲しいと思います。