スペイン・カタルーニャで独立の是非を問う住民投票の実施が決定、独立に向けた動きが加速することに
NHK によりますと、スペインからの独立を目指す動きが活発になっているカタルーニャ州で、独立の是非を問う住民投票を実施する法案が議会で可決されたとのことです。
「独立に賛成」の意見が多数派を占めると見られているだけに、衝撃が走ることになるでしょう。まずは住民投票の結果を待つ必要があります。
カタルーニャ州の州議会では、6日、独立の是非を問う住民投票の実施に関する法案が賛成多数で可決されました。
法律によりますと住民投票では、スペインからの独立に賛成するかどうか、「はい」か「いいえ」で答えることになっていて、賛成票が1票でも多ければ州議会が独立を宣言するとしています。
スペイン政府は、住民投票は認められないとして憲法裁判所に法律を無効にする訴えを起こす構えですが、カタルーニャ州のプチデモン州首相は、裁判所の判断にかかわらず住民投票を強行する姿勢を示しています。
1:“豊かなカタルーニャ” がスペインに留まる理由がない
独立の動きが活発になっているスペイン・カタルーニャ州ですが、活動源となっているのは「経済的に豊かなカタルーニャ」というものです。
スペイン全体の GDP で 20% 近くをカタルーニャ州が占めているのです。カタルーニャと同等の位置付けなのは「独立志向の強いバスク州」と「首都のマドリード」です。
独裁政権で圧政を受けた側であるカタルーニャ州の住民には「スペインの中央政府に強制的な仕送りをさせられている」との状況は受け入れがたいものなのです。経済はスペインよりも高水準であると見積もれるのですから、独立を支持する人が多数派となっても不思議ではないと言えるでしょう。
2:勝ち目がないから、住民投票は無効としているのでは?
「住民投票を実施する」とカタルーニャ州議会が宣言したことに対し、スペイン政府は無効との訴えを起こす構えを見せているとのことです。
これは、住民投票をすれば、独立賛成派の勝利が濃厚とスペイン政府が実質的に認めているからでしょう。もし、「独立したい」との住民投票を無視すれば、スペイン政府が批判されることは目に見えています。
なぜなら、コソボ独立では “住民の意向” が西側諸国に『独立』を承認させる要因になったからです。スペインは「コソボ独立を認めない」との立場を採っていますが、他の EU 主要国は賛成の立場です。厳しい立場になる可能性が高いと言えるはずです。
3:いつ住民投票が行われるのかが焦点
スペイン政府とカタルーニャ州政府の緊張が高まっていますが、実際に「スペインからの独立を問う住民投票」がいつ実施されるのかが焦点となるでしょう。
独立支持派が勝利すれば、州議会が「独立を宣言する」と述べているからです。「いつ独立を宣言するのか」など、先延ばしにできそうな要素はありますが、投開票が行われた日に独立を宣言することも十分に考えられます。
EU にとっての “頭痛の種” が増えることになったと言えるのではないでしょうか。