安倍首相がピョンチャン冬季五輪に出席するメリットはなく、“駆け引き” をする意味すら存在しない

 韓国が期待する「安倍首相のピョンチャン(平昌)冬季五輪への出席」を巡り、日本政府が外交的な駆け引きを仕掛けていると朝日新聞が報じています。

 ですが、この記事は朝日新聞の願望と言えるでしょう。なぜなら、日本側には「駆け引き」によって得られるものがないため、駆け引きをする意味がないからです。

 

 19日にあった河野太郎外相と韓国の康京和(カンギョンファ)外相との会談で、来年2月の韓国・平昌冬季五輪への安倍晋三首相の出席をめぐって日本側が韓国側を牽制(けんせい)する一幕があった。日本政府は慰安婦問題で韓国政府の対応に不信感を募らせており、外交的な「駆け引き」を仕掛けた格好だ。

 複数の日韓関係筋が明らかにした。康氏が会談で「首相を平昌で歓迎したい」との文在寅(ムンジェイン)大統領のメッセージを伝えると、河野氏は文政権が2015年末の日韓合意に反する動きを見せていることに触れ、「このままでは(参加は)難しい」と伝えた。

 (中略)

 ただ2020年の東京五輪には韓国の協力も必要で、「現時点では首相は参加しないとも伝えていない」(日本外務省関係者)としている。

 

 

1:安倍首相の訪韓で得られるものなど何もない

 韓国は「安倍首相に訪韓して欲しい」という切実な状況にあります。『日韓友好』を全面にアピールすることで、経済支援などを引き出すことができるからです。

 しかし、日本側にはそうしたメリットはありません。

  • 総理の身の安全が保証されない
    • リッパード・アメリカ駐韓大使が朝食会で襲撃される
    • トランプ大統領に自称・慰安婦が抱きつく
  • 慰安婦合意を履行していない
    • 慰安婦像の移転は進まず
    • 慰安婦合意の検証結果を公表すると宣言

 上記のような振る舞いをする韓国に安倍首相が訪問することで得られるメリットは皆無なのです。合意事項の履行すらせず、安全面すら満足に保証できない国に行くこと自体が大きな間違いだと言えるでしょう。

 

2:安倍首相が訪韓しても、韓国が慰安婦合意を履行する保証はない

 韓国は年内に「慰安婦合意の検証結果」を公表すると宣言していますが、それに対する韓国政府の対応を発表することは先延ばしにしています。おそらく、以下のようなプランを描いているのでしょう。

  1. 2017年12月:「慰安婦合意の検証結果」を公表
  2. 2018年2月:安倍首相がピョンチャン冬季五輪を訪問
  3. 2018年3月以降:「慰安婦合意の検証結果」に対する “韓国政府の見解・対応” を発表

 要するに、「歴史戦を仕掛けるが、日本は韓国のために経済協力を惜しむな」という身勝手な要求をしているのです。

 現時点で慰安婦合意の内容を韓国政府は履行していないのです。「日本側が歩み寄るべき」と主張する人もいるでしょうが、韓国側が行動を起こしていないという現実から目を背けていることと同じです。ゴールポストを動かすことのメリットは日本側には存在しないことを理解しなければなりません。

 

3:「東京五輪で韓国の協力が必要」というのは朝日新聞・ソウル支局員の願望だろう

 朝日新聞の記事を書いた武田肇氏はソウル支局員という立場にあります。そのため、日韓関係が極度に悪化すると困るという事情を抱えているのです。

 そもそも、「東京五輪で韓国の協力が必要となる」とは具体的にどの分野のことを指摘しているのでしょうか。

 社交辞令など “表向き” のコメントは社会に多数存在します。具体的な指摘ができなければ、マスコミとして存在価値はゼロです。

 ちなみに、ピョンチャン冬季五輪が行われる2月は国会が開催されている真っ最中でしょう。その期間中に安倍首相が不在となることをマスコミ自身が歓迎できるのかという点も問われることになるのです。

 

 少なくとも、日本側が “駆け引き” によって追加で得られるものはありません。慰安婦合意の履行などは「既に得ていなければならないもの」であり、今回の駆け引きをする意味は日本側にはないのです。

 「日本政府との合意事項は無視しても問題ない」と高を括る韓国政府に厳しい指摘をすることこそ、良好な日韓関係を希望するマスコミがしなければならないことと言えるのではないでしょうか。