「日本の右傾化が深刻だ」と主張するメディアや記者は歴史や世界の潮流を知らないのだろう
東京都知事選で “極右候補” と目された桜井誠氏が10万票超の得票を記録したことを根拠に「日本の右傾化が深刻だ」と主張する一部のメディアや記者が存在します。
しかし、彼らは世界規模で右傾化が進んでいることや、タカ派の石原都政が存在した歴史などを完全に忘れているのでしょう。自らのイデオロギーを押し付けようとする活動家と同じです。
先月行われたオーストラリアの総選挙で、イスラム教徒の排斥を掲げる極右政党が上院で複数の議席を獲得し、イスラム教徒の入国制限など極端な政策を展開し、議会が混乱するおそれも指摘されています。
(中略)
議会上院の76議席のうちターンブル首相率いる与党、保守連合が30議席、最大野党、労働党が26議席と、いずれも過半数に達しませんでした。その一方、イスラム教徒の移民の受け入れ拒否などを公約に掲げている極右政党、ワンネーションが4議席を獲得しました。
オーストラリアでも総選挙で “極右政党” が議席を獲得したことがニュースとなっています。排外主義の波は世界規模で起きており、日本だけが右傾化している訳ではないのです。
むしろ、規模の観点では日本の右傾化は微々たるものです。
ヨーロッパでは “極右政党” と言われる政党が総選挙に占める得票率は 10〜30% にまで達する国が一般的です。また、アメリカでは排外主義を掲げたドナルド・ドランプ氏が共和党の大統領候補になっています。
こうした世界的な流れから考えると、“極右候補” と名指しされた桜井誠氏の東京都知事選での得票率はわずか 1.7%。極右が異様なほどに弱いことが日本の実状なのです。
極右政党が第1党となる得票率を記録したり、議席を得ているヨーロッパの国が存在するにもかかわらず、「日本の右傾化」や「言論弾圧」などと騒いでいるメディアや記者がいることは驚きです。
彼ら、彼女らには現在の世界で起きている排外主義の高まりは見えず、右傾化そのものから目を背けているのでしょう。騒げば騒ぐほど、自分たちの取材能力がないことを訴えていることと同じなのです。
支持者がごくわずかな日本で右傾化を叫ぶ理由は何なのか。
それは自分たちの “メシの種” となるからです。排外主義とジャーナリストという肩書きを欲しいと考える人物は多く存在するでしょう。また、極右支持者の絶対数が少ないのですから、自らの身が危険にさらされるリスクも比例して少なくなります。
安全な場所に身を置き、日本の右傾化を憂うことで稼ぎを得ている者たちばかりなのですから、騒ぎを起こしたい輩が煽っているだけと言えるでしょう。
右傾化の深刻度を問題とするのであれば、日本よりヨーロッパ諸国の方を問題視しなければなりません。それすら怠っているのですから、あまりに無責任なことです。
そのような記者やメディアが発表した論説をありがたがる意味はないでしょう。彼らが流すのは自分たちの主義・主張にとって都合の良い情報や記事ばかりだからです。そのような記事を書き続ける限り、マスコミ不信は広まり、過激な記事作りから自滅することになるのではないでしょうか。