中国の軍事費膨張に対し、野党やメディアは「軍国主義」と批判すべきだ

 中国が費やす軍事費(国防費)が初めて1兆元(約17兆円)に達する見通しになったと NHK が報じています。

 日本の防衛費が5兆円ですから、中国は3倍以上の額をつぎ込んでいることになります。「日本の防衛予算が過去最高になった」と批判する人々は中国が “国防費” として計上している金額を見た上で批判すべきと言えるでしょう。

 

 中国政府のことしの予算案で、国防費は去年より7%前後増えることが明らかになり、初めて1兆人民元の大台を突破する見通しになりました。

 (中略)

 中国の去年の国防費の予算は9543億5400万人民元、去年3月のレートで日本円に換算すると、およそ16兆7000億円で、日本の防衛費5兆541億円の3倍でした。

 

 日本では「防衛費が5兆円を突破した」ことがメディアで報じられ、「軍拡だ、軍国主義だ」と “平和” を語る人々が危険を訴えています。

 しかし、中国の軍事費はその3倍以上なのです。『3倍以上の軍事予算を持つ国』が日本の領土である尖閣諸島付近の領海に何度も侵入しているのです。

 力を背景にした現状変更を拒むのであれば、有効性のある具体的な対策が不可欠です。資金力や軍事力がない状態では、“話し合い” をしたところで効果は現れないでしょう。そのことを日本にいる平和主義者は理解しなければなりません。

 

 具体的に述べると、中国に影響下に入ったとしても “平和” は訪れます。ただし、中国の価値観(中華思想)に基づく “平和” であり、言論や表現の自由が確保される保証はありません。

 中国共産党が独裁する社会ですが、党の決定方針に逆らうことがなければ、危害を加えられることはないでしょう。共産党にとっての良き市民であれば、安全な社会が用意される訳ですから、“平和” を享受することができるのです。

 戦乱に巻き込まれないことは “平和” と言えるでしょうが、自由が存在する可能性はかぎりなくゼロです。日本で活動する平和主義者が理想とする “平和” とは大きくかけ離れていることが実状であることを見落としてはなりません。

 取材活動をしていた BBC のクルーが殴られた上に逮捕・拘束され、自白を強要されるということが平然と起きる社会なのです。安易に受け入れるべき価値観とは一線を画していると言えるでしょう。

 

 「中国が軍拡に走らないように周辺国が歯止めをかけるべき」と主張したところで、予算がなければ行動を起こすことはできません。日本の防衛費ですら、中国の3分の1にも届かない水準なのです。

 安保法制に反対していた人々は3倍の予算を持つ相手とどのように渡り合う戦略を持っていたのでしょうか。

 『日米同盟』の枠組みを強化することで、アメリカを巻き込むことができます。そうすれば、予算面での不安は解消され、自衛隊の持たない敵地攻撃能力を借り入れることが可能となり、中国軍の台頭に対する抑止力になることが見込めるのです。

 十分な抑止力が備わっているから、相手を交渉の席に着かせることが可能となり、“話し合い” も意味を持つことになるのです。“平和” を口先で叫ぶだけでは何の解決策にもならないことはシリア・イラク、ウクライナという紛争地域から明らかだと言えるでしょう。

 

 中国の軍事費として計上する金額には歯止めがかかっておらず、地域の緊張を高める要因にしかなっていないのです。“平和” を日頃から叫ぶ自称・リベラル派こそ、この問題で中国の姿勢を厳しく批判すべきでしょう。

 なぜなら、中国の姿勢はリベラルの価値観と180度異なるものだからです。もし、そうした言論を繰り返し述べることができないのであれば、中国の太鼓持ちと批判されても文句は言えないことを自認する必要があるのではないでしょうか。