毎日新聞が「安倍政権が防衛装備をアメリカの言い値が購入している」とデマを記載

 毎日新聞が12月17日付の記事で「安倍政権が防衛装備をアメリカの言い値が購入している」と批判しています。しかし、この指摘は事実と異なるため、フェイクニュースと言えるでしょう。

画像:毎日新聞が報じた記事へのファクトチェック

 

■ 毎日新聞が報じた記事

 毎日新聞が報じた記事の骨子は以下のものです。

画像:毎日新聞が報じた記事(12月17日付)

 

 FMSは米政府が武器輸出管理法に基づき、米企業の兵器を同盟国や友好国に売る事業で、日本は1956年度からFMS調達を実施している。最新鋭の装備を調達しやすい半面、米国に有利な条件を一方的にのまされ、価格設定も米政府主導で交渉の余地がないとされる。安倍首相も11月29日の参院予算委員会で「防衛省が改善を進めている」と欠点を認めている。

 実際、FMSによる調達について会計検査院は、米国側の言い値の取引による不利益や不備を何度も指摘してきた。F35も、日本製部品採用を条件に価格が割高に設定されたが一部の機体で採用されていないことが9月に発覚。検査院は防衛装備庁に米国との減額交渉を求めている。

 軍事費(防衛費)は第2次安倍政権が発足してから右肩上がり。中でもアメリカから装備を購入する『対外有償軍事援助(FMS)』の額が伸びており、FMS では先方の “言い値” で多額の費用が注ぎ込まれていると批判しているのです。

 

■ 事実

1:日米政府間による価格交渉は行われている

 毎日新聞は「アメリカ政府の言い値で購入している」と主張していますが、これは誤りです。なぜなら、ロイターが2017年2月1日付で「自衛隊向け F35 戦闘機値下げ、日米が異例の価格交渉」と報じているからです。

 防衛省が2017年度に発注する6機のF35戦闘機について、米国政府が日本側の値下げ要請に応じていたことが分かった。日本が米国政府と武器の価格交渉をするのは異例。

 装備品の値下げ交渉が行われ、日本政府は「購入費の値下げ」を勝ち取っているのです。“言い値” で購入しているのであれば、値下げ交渉すら行われないでしょう。

 このニュースからも、毎日新聞の記事はフェイクニュース(=デマ)であると結論づけることが可能です。

 

2:「自国内での技術開発」を否定しておきながら、「アメリカ製の装備品購入」を批判する毎日新聞

 また、毎日新聞が批判されるべき点として社説における矛盾があります。アメリカ政府から購入する装備品が高額な状況を改善するための案として、取材対象者に以下の提案を述べさせています。

  • 自国生産を促進する
  • 購入国を分散する

 競争原理を働かせるための最もオーソドックスな手法と言えるでしょう。しかし、毎日新聞は2月10日付の社説「米軍から研究費 提供先の広がりに驚く」と銘打ち、「軍事転用につながる可能性のある研究と距離を取れ」と大学・研究者に要求しているのです。

 自国生産に必要な技術開発を止めるのですから、競争原理は働きません。また、購入国を分散するにしても、汎用性を持った装備品で統一しなければ、維持経費が二重になるだけです。

 

 明らかに、その場しのぎの言論で「防衛費が増えたこと」という点のみを批判しているだけと言えるでしょう。中国の海洋進出が活発になり、北朝鮮からの不審船漂着・密入国が起きている状況下では防衛費の増額は当然の流れです。

 「安全保障に必要な経費がきちんと確保されているのか」、「確保された予算は効率的に運用されているのか」という視点で事実関係を報じることはメディアには求められているのです。毎日新聞の記事は GDP の 2% にも満たない日本の防衛費増額を批判する典型的な “お花畑の記事” となっています。

 内容そのものを見直し、訂正する必要がある記事と言えるのではないでしょうか。