毎日新聞、「アメリカ軍が協定破り、揚陸艇の夜間航行訓練を実施」とのデマを報じる
毎日新聞が「在日アメリカ軍が協定を破り、揚陸艇の夜間航行訓練を実施した」と報じています。
このニュースは読者を誤解させる完全なフェイクニュースであり、在日米軍司令部が抗議するのは当然と言えるでしょう。明らかな誤報だからです。
■ 毎日新聞が報じた記事
毎日新聞は『米軍:協定破り訓練 揚陸艇の夜間航行 長崎・西海市』とタイトルを打ち、11月8日付の朝刊で報じました。その内容は以下のとおりです。
米海軍佐世保基地(長崎県佐世保市)のエアクッション型揚陸艇(LCAC)が7日、佐世保湾の外海で夜間航行訓練を実施した。夜間航行は1995年の同基地配備以降初めて。LCACは2013年に佐世保市の崎辺海軍補助施設から同県西海市の横瀬駐機場に移駐したが、その際に九州防衛局は住民への騒音被害を考慮して夜間航行しないよう米軍と調整する旨の協定を市と結んでいる。協定違反の訓練強行に市は激しく反発している。
この記事で問題となるのは『協定』の対象です。これがタイトルと記事で矛盾を引き起こす原因となっているのです。
■ 事実
1:アメリカ軍との『協定』は存在しない
アメリカ軍が報道を批判した理由は「そもそも、記事で報じられた『協定』をアメリカ軍は締結していないから」です。
『協定』の範囲は「長崎県西海市と防衛省・九州防衛局」です。したがって、「アメリカ軍が『協定』に違反した」との記事が事実無根ということになるのです。
2:防衛省・九州防衛局は『協定』に従って調整したが、調整は不調に終わっただけ
防衛省・九州防衛局は西海市との『協定』に従い、アメリカ軍と訓練についての調整を行いました。そして、調整は不調に終わった。それだけの話なのです。
大手マスコミが記事にするほどのレベルではありません。
西海市は「アメリカ軍の訓練実施に対する拒否権」を手にしているとでも思っているのでしょうか。九州防衛局は『協定』を遵守し、アメリカ軍に対して訓練中止の “要請” は行っています。その “要請” が拒否されただけなのです。
にもかかわらず、協定順守を求める要請書を提出した西海市の杉沢泰彦市長の行動は理解不能と言えるでしょう。
3:LCAC の運用は「原則平日」である
LCAC の運用については九州防衛局から「原則として平日に行われる」と発表(PDF)がされています。
メンテナンスなどを考えると、平日・昼間が基本になるでしょう。しかし、防衛は24時間365日運用し続けることが要求されるため、夜間運用能力を持つことは必要不可欠です。
そのため、夜間訓練にも理解をしめさなければなりません。もし、アメリカ軍の夜間訓練を禁じたいのであれば、当の在日アメリカ軍と『協定』を締結する必要があります。
アメリカ軍との『協定』を締結していない状況で、「アメリカ軍が『協定』を破った』などと報じるのはフェイクニュースです。毎日新聞は事実を正確に報じることからやり直す必要があると言えるのではないでしょうか。