本田真凜は『例外』、浅田真央は『例外中の例外』
フィギュアスケートで一時代を築いた浅田真央選手の後継者とマスコミが大いに期待する本田真凜選手が壁を当たっている様子です。
週刊朝日は「五輪出場に黄信号」と書いていますが、これは違うと言えるでしょう。本田真凜選手はオリンピック出場を確実視されるだけの実績をまだ残していないからです。
現状はマスコミ報道が加熱した『話題先行型』であり、浅田真央選手のような『実績型』ではないことを留意する必要があります。
女子フィギュアスケートで“ポスト浅田真央”として注目を浴びる本田真凜(16)が、年明けに迫った平昌(ピョンチャン)五輪の出場を占う重要な国際大会で5位に沈み、五輪代表の座を巡り、黄信号がともった。
本田真凜選手は村上佳菜子選手以来となる世界ジュニアフィギュアスケート選手権での優勝を達成しており、期待値の高い選手であることは事実です。
ただ、本田選手が『例外的な選手』だと表現すると、比較対象となっている浅田選手は『例外中の例外』なのです。そのため、同じ基準で比較すること自体が間違いと言えるでしょう。
1:ジュニア時代にシニアの大会で優勝していた浅田真央
浅田選手が他のジュニア選手と一線を画していたのは「シニアの世界大会で優勝していた」という実績です。これは特筆事項と言えるでしょう。
浅田 真央 | 荒川 静香 | |
---|---|---|
GP 中国杯 (11月3〜6日) |
2位:176.60 (SP: 62.92, FS: 113.68) |
3位:173.60 (S: 57.56, F: 116.04) |
GP フランス杯 (11月17〜20日) |
優勝:182.42 (SP: 63.96, FS: 118.46) |
3位:173.30 (S: 57.98, F: 115.32) |
GP ファイナル (12月16〜18日) |
優勝:189.62 (SP: 64.38, FS: 125.24) |
不参加 |
全日本選手権 (12月23〜25日) |
2位:188.10 (SP: 66.64, FS: 121.46) |
3位:187.36 (S: 68.76, F: 118.60) |
トリノ五輪 | 不参加 (年齢制限) |
優勝:191.34 (S: 66.02, F: 125.32) |
オリンピックには年齢制限で出場できなかった浅田真央選手ですが、トリノ五輪が行われた 2005-2006 シーズンでは金メダルを獲得した荒川静香選手との直接対決で全勝しています。
ジュニア時代にシニアの大会に出場して、そこで優勝するレベルだったのです。明らかに浅田選手は『例外中の例外』だったと言えるでしょう。
2:本田真凜選手の目標は「今季シニアの大会で200点台のスコアを出すこと」
本田真凜選手の自己ベストは2017年3月に行われた世界ジュニアでの 201.61 点。これは絶対女王として君臨するメドベージェワ選手(ロシア)の 192.97 を上回っており、大きな期待が寄せられることも当然と言えるでしょう。
ただ、重要なのは「その次」です。
具体的には「シニアの大会で200点を超えるスコアを出せるか」ということです。世界大会で表彰台に立つには女子では200点超が必要です。まずはその壁を突破することが求められているのです。
- エフゲニア・メドベージェワ(17)
- 世界Jr.(2015年3月):192.97
- GP アメリカ杯(2015年10月):206.01
- 世界国別対抗(2017年4月):241.31
- 樋口 新葉(16)
- 世界Jr.(2016年3月):183.73
- 世界国別対抗(2017年4月):216.71
- CS ロンバルディア(2017年9月):217.63
- 本田 真凜(16)
- 世界Jr.(2017年3月):201.61
- GP 中国杯:198.32
ソチ五輪で金メダル最有力のメドベージェワ選手や日本代表として出場枠を獲得することが濃厚である樋口新葉選手はシニア初年度のシーズンで200点台のスコアを記録しています。そのため、この壁を本田真凜選手が年末の全日本選手権で乗り越えられるかが注目点と言えるでしょう。
3:本田真凜選手の現在地は『話題先行型』のキーラ・コルピ(フィンランド)と同じ
本田真凜選手の現在地ですが、美貌とルックスで注目されたキーラ・コルピ選手(フィンランド)と同じ『話題先行型』となるでしょう。マスコミが注目しすぎて期待値が高くなっていることもあり、実力がまだ追いついていない状況です。
実力を伸ばすためには「ある程度の練習量」が不可欠となるのですが、本人が『練習嫌い』を公言し、コーチもそれに苦言を呈している状況です。
おそらく、本田真凜選手は “天才肌の選手” なのでしょう。こうした “天才肌の選手” に「どう課題に取り組ませるか」がコーチの腕の見せ所です。
『練習の重要性』を説いたところで、ジュニアの世界大会で勝ったという実績があるため、効果は薄いでしょう。『練習嫌い』の状況で勝っているからです。ただ、選手本人が「注目されることは大好き」と公言していますので、この点を上手く利用すべきです。
- 「シニアの世界大会で勝てば、もっと注目される」と提案
- 「そのためには演技後半にジャンプを入れることが効果的」と説明
- 「後半のジャンプを活かすにはスタミナアップと余計な体力消耗を抑えることは必須」と練習の必要性を説得
『実績』が加われば、本田真凜選手への注目度は今以上に高まることが予想されます。それを前提に上手く逆算し、練習嫌いの選手にストレスを感じるよりも自身の成長を感じさせる練習プログラムを組むことができるかが注目点になるでしょう。
本田真凜選手が浅田真央選手のように『例外中の例外』と言えるような存在にまで成長するのか。まずは年末に行われる全日本選手権での演技に注目する必要があると言えるのではないでしょうか。