だから反原発派は嫌われる 市民からの苦情を受けた県からの自粛要請に逆ギレ

 活動の目的を見失っているのでしょう。福井市にはる福井県庁前で反原発活動を訴えていた団体が県から活動自粛を促す要請を受けたことに反発していると朝日新聞が伝えています。

 県が活動自粛を要請したのは「市民からの苦情があったから」です。自分たちの味方に引き込まなければならない市民を敵に回す時点で、政治活動としては失敗していると言えるでしょう。

 

 県と団体によると、市民団体は5年ほど前から、県公安委員会の許可を得て、平日昼に拡声機などを使い、県庁前の歩道で反原発などを訴えるアピール活動をしてきた。庁舎管理担当の県財産活用推進課長らは3月31日、活動後のメンバーに文書を手渡した。

 文書では「活動の音量が大きくて不快」「横断幕やのぼりは美観上好ましくない」「通行の妨げ」といった苦情が寄せられているとし、活動を控えるよう要請した。団体側は「警察から許可を得ているのにおかしい」と抗議。メンバーの一人は「市民活動の自由を制限する内容。行政としておかしい」と話した。

 

 時系列を整理すると、問題が良く分かるはずです。

  1. 反原発団体が許可を取り、デモ活動を実施
  2. 市民からクレームが県に寄せられる
    • うるさい、迷惑
    • 横断幕やノボリが美観を損ねている
    • 通行の邪魔
  3. クレームを受け、県が団体に活動自粛を要請
  4. 反原発団体が「行政からの圧力」と逆ギレ

 福井県庁前で活動を行っている反原発団体は完全に目的を見失っていると言えるでしょう。なぜなら、彼らの活動内容を “市民” に理解してもらわなければ、活動の意味がないからです。

 

 団体のメンバーは「市民活動の自由を制限する内容だ」と批判していますが、市民からの苦情を受けた結果、県から活動自粛の要請が出されたのです。

 「一部市民が求める “自由” によって、他の市民が不利益を被っている」との苦情が出たため、県が活動内容の改善を求めたに過ぎません。実際に寄せられた苦情の原因を解決できているなら、活動に支障が生じることはないはずです。

 音量はデシベルでの測定が可能であり、許容範囲内の音量で主張していることは証明されれば、市民から理解されるでしょう。横断幕やノボリについても、掲げるものを選別すれば済む話です。通行を妨げているのであれば論外ですが、これは活動時に注意を払っていれば問題にもならないことと言えるはずです。

 苦情やクレームが “言いがかり” であることを第三者に示すことができれば、活動が白い目で見られることはないでしょう。しかし、反原発派の活動は市民から受け入れられているとは到底言えません。

 

 その最大の要因は「自分たちの主張を中間層に浸透させ、多数派になる」という地道なプロセスを怠っているからです。

 リベラル派に多い特徴なのですが、自分たちの考えが正しいものと決めつけ、価値観を押し付ける行為が反発を招いているのです。説得に必要な労力を割くようでは、説得できる内容であっても、説得できなくなってしまいます。

 反原発派の本来の目的は「エネルギー政策で原子力発電を辞めると考える有権者を多数派にすること」であるはずです。

 そのために行っている活動中に、市民である有権者の一部から「活動手法に対するクレーム」が入ったところ、「市民による活動を制限するのか」と逆ギレしているのです。このような横柄な態度をする人物たちが訴える活動の内容に共感する人は現れないでしょう。

 “活動手法” を改められない人物が “活動内容” に柔軟性を持っている可能性はゼロであり、より優れた方針が発表された場合に方向展開できないことは容易に想像できるからです。

 

 反原発派もいれば、原発推進派もいるのです。「原子力政策をどうするのか」という議題が提示された場合、鍵になるのは中間層の動向です。

 「リーズナブルな価格で安定供給され、環境にも配慮されていれば、発電手法は特に気にしない」という世間一般の人々に “反原発” という自分たちの主張に賛同してもらう必要があることは言うまでもありません。「反原発が正しいのだから、黙って受け入れろ」という姿勢では距離を置かれることは明らかです。

 なぜ、反原発の運動が広がらないのか。それは反原発活動に勤しむ組織・団体の態度に現れていると言えるでしょう。朝日新聞も本気で反原発を行いたいのであれば、味方の足を引っ張る団体に灸をすえる必要があるのではないでしょうか。