安倍首相が提案した「憲法9条への自衛隊明記による加憲案」、上々の評価を得ていることが各世論調査で明らかに
安倍首相が憲法記念日に合わせて発表した「自衛隊の存在を憲法に明記する」ことによる憲法改正について、世論調査の結果が発表されました。
上々の反応が示されており、良い滑り出しを見せていると言えるでしょう。「方向性はポジティブに受け取られている」と判断できるため、具体的にどのような条文を加えるかが議論の中心になると思われます。
- 憲法9条の1項と2項を維持したうえで、自衛隊の存在を明記することの賛否は?(NHK)
- 賛成:32%
- 反対:20%
- どちらとも言えない:41%
- 安倍首相が憲法9条に自衛隊の存在を明記する項目を追加することを提案しました。このような改正は必要ありますか?(朝日新聞)
- 改正をする必要がある:41%
- その必要はない:44%
- 憲法9条の1項と2項を維持した上で、自衛隊の根拠規定を追加する考えは?(読売新聞)
- 賛成:53%
- 反対:35%
「憲法改正は必要ない」との論陣を張る朝日新聞だけが、反対意見が 3% 上回っている結果が出ています。しかし、NHK やインタビューが掲載された読売新聞では賛成派が 10% 以上も上回っており、世間は好意的に受け止めていると言えるでしょう。
一部の自民党議員からは「改憲する必要はあるのか」との疑問が呈されていますが、世論調査で多くの国民が「自衛隊の存在意義を明記すること」に前向きであることを見て、反対意見を示していた議員も方向転換を始めることでしょう。
「自衛隊の存在を明記し、違法と読み取れる状況を脱すること」に反対するのであれば、大きな批判を受けることは避けられません。
違法状態を放置することを意味しますし、リスクの高い任務を自衛隊に依存している現状は異様なことだからです。災害派遣が依頼されたり、悪天候を理由に自衛隊機による患者輸送が要請されるなど、自衛隊の善意に “甘えすぎ” の状況は適正化する必要があると言えるはずです。
負担を強いるのであれば、相応を見返りを渡すことは当然です。災害派遣を要請した自治体が交付税の一部を自衛隊に支払い、それが任務に当たった隊員のボーナスや使用した装備の整備費用に当てたということが当たり前のニュースとして報じられるようになるべきではないでしょうか。
さて、当面の問題は「憲法9条の1項と2項を保持したまま、自衛隊の存在をどう3項で表現するか」ということになります。
方向性が支持されているため、反対を述べるだけでは意味がありません。また、朝日新聞が主張する「改憲の必要性はない」という内容についても、「自衛隊が違憲と見なされている現状で問題ないのか」との反論の前には無力です。
安倍首相が提案した『憲法9条3項』で「自民党より優れた条文案」を野党が示すことができれば、政権交代のきっかけとなる可能性はあるでしょう。盤石の安倍政権が “落とし穴” にはまる危険があるとすれば、この点になるのではないでしょうか。