メタンハイドレートからのガス採取試験、対策するも砂が混入して試験中断

 資源エネルギー庁が行っていたメタンハイドレートからガス採取試験でパイプに砂が入るトラブルが起きたため、計画が中断されたと NHK が伝えています。

 前回の試験でも「砂が入ったこと」が理由で試験の中断が余儀なくされました。施されていた対策がどの程度の効果を発揮したのかを確認し、今後に活かすことができるかがポイントになるでしょう。

 

 資源エネルギー庁は、純国産のエネルギーの開発を目指して、愛知県と三重県の沖合で行なっている天然ガスと水が結びついたメタンハイドレートからガスを取り出す試験で、パイプに砂が入るトラブルが発生したため、ガスを引き上げる作業を計画の半分程度の12日間で中断したと発表しました。

 (中略)

 メタンハイドレートからガスを連続して取り出す試験は、4年前、世界で初めてガスの取り出しに成功した際もパイプに砂が入るトラブルが発生して6日間で中断を余儀なくされ、今回はパイプの周りに特殊な合成素材を巻きつけるなどの対策を取っていました。

 資源エネルギー庁はトラブルの原因を調べるとともに、今月下旬をめどに作業の再開を目指すとしています。

 

 NHK のニュースを読むと、誤解を招く表現が含まれています。「今月下旬をめどに作業の再開を目指す」との書けば、“同じ設備を使っての作業を再開する” と認識する人がほとんどであるはずです。

 ですが、資源エネルギー庁は公式サイト上で「本坑井におけるガス生産試験は、中断することとし、別の出砂対策を施したもう一方の生産坑井でのガス生産試験(5月下旬~6月上旬にかけて実施予定)の準備を行っております。」と公表しているのです。

 NHK は “正確な情報” を伝えることができておらず、誤解を招く表現になっていたことを重く受け止め、猛省する必要があるはずです。

 

画像:メタンハイドレート海洋産出試験の概念図

 現在、行われているメタンハイドレートの海洋産出試験の概念図は上図であることが資源エネルギー庁から公開されています。

 別々の対策が講じられた生産坑井が2つ用意されており、その1つで砂が入り込んだため、生産試験は中断されることになったとのこと。そのため、別の対策が施されたもう一方の生産坑井で生産試験を行う準備に取り掛かっていることが現状であると発表されました。

 “出砂対策” が完璧に作用すれば良かったのですが、研究・開発分野でのトラブルは日常茶飯事です。「対策にどのぐらい効果があったのか」を把握し、改善項目を絞り込むことができれば、十分な成果を出したと言えるでしょう。

 

 砂が混入する問題についての対策が効果を発揮するかが焦点になるでしょう。今月下旬から行われる予定である別の対策が施されている生産坑井での試験結果に注目する必要があると言えるのではないでしょうか。