フランスでの「テロの定義」すら知らないルモンド紙のフィリップ・メスメール特派員

 フランス・ルモンド紙の特派員としてメディアに登場しているフィリップ・メスメール氏が12日に報道された『報道ステーション』で「これほど広範囲な “共謀罪” はいらない」などと発言しています。

画像:フィリップ・メスメール氏

 自国フランスにおける「テロの定義」すら知らずに、コメントするのは特派員の資質にかけることです。

 しかし、ナレーター業の傍らで記事を投稿している程度であるなら、フランスでの「テロの定義」を知らないことに対して理解をしてあげなければなりません。むしろ、ナレーターとしてテレビ局が用意した原稿を読んだに過ぎないと見る必要があるはずです。

 

フランスにおける「テロの定義」

 フランスにおける「テロの定義」は高山直也氏の『外国の立法』228号(PDF)の中で紹介されています。該当部分をリストアップすることにしましょう。

  1. 故意による生命侵害、人の完全性に対する侵害、拉致、監禁、刑法典第2部「人に対する犯罪」に規定する航空機、船舶その他すべての輸送手段の奪取
  2. 盗取、恐喝、破壊、毀損、毀棄、刑法典第3部「財産に対する犯罪」に規定する情報処理に関する犯罪
  3. 戦闘集団及び解散を命じられる運動にかかわった犯罪、犯人隠匿、文書偽造に規定する犯罪
  4. 殺傷機械、殺傷兵器又は爆発物の製造又は所持
  5. 上記 1~4 に規定する犯罪の隠匿
  6. マネーロンダリング罪
  7. インサイダー取引

 フランスでは上記の行為はテロ行為として位置づけられています。このことをメスメール氏が知らないのは特派員として致命的と言えるのではないでしょうか。

 

フランスには『共謀罪』があり、テロ活動の資金源を用意することはテロ行為である

 先ほどの資料では、「テロ行為の準備を目的に作られた団体又は合意された謀議への参加は、おなじくテロ行為とする」と明記されています。これは『共謀罪』と呼ぶべきものでしょう。

 フランスでは “テロと定義づけられた行為” を準備する目的に加わった時点で「テロ行為に加担した」と見なされ、罰せられるのです。

 

 また、「テロの企てに資金を提供する行為は、行為の結果いかんにかかわらず、おなじくテロ行為とする」とも記載されています。これは反社会勢力の代表例である暴力団が活動資金を得るために賭場を開けば、テロ行為として処罰されることを意味している条文です。

 自分の国での「テロの定義」すら理解できていないメスメール氏が『テロ等準備罪』についての見解を述べるのには少し無理があったと言えるでしょう。

 

フィリップ・メスメールは未だに “性奴隷” を喧伝している1人

 ルモンド紙のフィリップ・メスメール氏ですが、未だに “性奴隷” と書き続けている活動家の1人です。その証拠は2015年12月30日付のルモンド紙に署名記事があるからです。

画像:ルモンド紙の3ページ目(2015年12月30日付)

 キャプチャ画像の右下にある「1977 ET 1983」と記載された部分で、メスメール氏は次のように書いています。

 1977 ET 1983

 Parution des Mémoires d'un ancien militaire, Seiji Yoshida (1913-2000), dans lesquelles il affirme avoir participé à des enlèvements de femmes en Corée pour le compte des autorités. En 1996, il admet avoir inventé une partie des faits.

 (和訳:)元兵士の吉田清治(1913-2000)が回顧録を刊行。その中で彼は当局が韓国で女性の拉致を行ったと主張している。1996年、彼は自著の一部が創作であることを認めた。

 朝日新聞ですら、吉田清治の主張内容について書かれた記事を2014年8月5日に取り下げているのです。記事の訂正・取り消しが行われたことは2014年12月に報告済みであり、英語版でも掲載されています。

 当局が韓国を女性を拉致したという内容が誤報だった訳ですから、「一部が創作だった」ではなく、「自著で書かれた主張内容が創作だった」と書かなければならないのです。

 “現地特派員” という立場でありながら、現地語で書かれた一次資料にも、英語で書かれた一次資料にもアクセスできない有様はあまりに能力不足としか言えないのではないでしょうか。

 

 メスメール氏は過去に『自殺事件』を政権批判に利用するという禁忌を平然と行っている曰く付きの人物です。日本のマスコミ以上に『WHO の自殺報道ガイドライン』を熟読し、理解しなければなりません。幸いなことに、フランス語版もありますから、そこから勉強し直すべき立場にあると言えるのではないでしょうか。