ドイツ・メルケル首相、総選挙にむけた選挙公約で「減税による景気活性化」を訴える
NHK によりますと、今年9月に総選挙を控えるドイツ・メルケル首相が選挙公約を発表したとのことです。
その中で特筆すべきは「経済を活性化させるために減税を行う」という点でしょう。この視点は日本国内の政治家も認識すべきことだと言えるはずです。
ドイツのメルケル首相が率いる中道右派の与党は、ことし9月の連邦議会選挙に向けた選挙公約を発表し、経済を活性化させるための大幅な減税や、治安対策を強化するための警察官の増員などを打ち出し、幅広い支持を呼びかけました。
どの国でも最重要政策は「安全保障と経済政策」です。これらの分野で下手な政策を実行することになれば、社会に悪影響が出ることになります。
ドイツ・メルケル首相は以下の政策を掲げて総選挙を戦うと報じられています。
- 2021年までに150億ユーロ規模の所得税の減税を行う
- 2025年までに失業率を3%未満に引き下げる
- 警察官を1万5000人増員し治安対策も強化する
経済政策を重要視している姿勢を明確にし、選挙での勝利を目指す狙いであることが読み取れます。軍事費を GDP 比の 2% にまで上昇させる必要がありますが、経済政策で結果を残せば、負担は重荷とはならないはずです。
1:“バラマキ” をするなら、減税すべき
景気刺激策として “バラマキ” が良く行われます。ですが、国が集めた税金に予算を付け、バラマキを行うことは効率が良いとは言えません。
“バラマキ” をするのであれば、始めから減税を行うべきです。
無駄なコストをかけずに済みますし、どこに予算をかけるのかは個人の裁量に任されます。『教育』に費やしても良いですし、『趣味』に使っても良いのです。
消費活動が活発になれば、景気は上向くでしょう。ただ、「お金を使っても良い」と考える分野は個人の価値観によって異なります。
そのため、国が予算という形で使い道を一方的に制限することは良いとは言えないはずです。
2:難民政策での失敗を「警察官の増員」で埋めることは本末転倒
ただ、メルケル政権は「後先考えずに難民を受け入れた」という大きな失点があります。それを「警察官の増員」で埋めあわせるのは良い手ではありません。
警察官を増員するということは、「治安維持に不安がある」ことを認めた状態です。難民を受け入れることを優先した結果、国内の治安が悪化したとなれば、明らかに本末転倒だと言えるでしょう。
難民を受け入れることによって、新たな追加予算が必要となるのは明らかに順序が間違っています。国民(=有権者)から「難民向け予算」の合意を得た上で、受け入れを行うというプロセスを経ていないから反発が起きることになるのです。
メルケル政権が「まだマシ」と言えるのは “ミスを挽回するための適切な政策” を打ち出すことができている点でしょう。ミスを認めず、マスコミが必死にそれを覆い隠そうとし、国民からの支持を失った民進党などとは大きな違いです。
おそらく、「ドイツを見習え」と繰り返し主張している人々はメルケル首相が提示した選挙公約に書かれた内容を無視することでしょう。なぜなら、日本で活動するリベラル派が主張する『政府による大幅な支援』と相反するものだからです。
政府の予算は納税者が収めた税金であり、打ち出の小槌ではないのです。それを理解できず、経済政策よりも配分ばかりに重点を置いているから有権者からの支持を得られていないという現実を理解すべきなのではないでしょうか。