朝日新聞、加計学園騒動の “空白地域” を勝手に解釈した誤った記事で政府を批判する
朝日新聞が “獣医学部の空白地域” を自分たちにとって都合よく解釈し、それを基に「設置条件が変わっている」と批判する記事を書いています。
岡崎明子記者と星野典久記者の署名がありますが、両記者は公開されている議事録に目を通していないのでしょう。自分たちの勝手な解釈で「過去の説明と矛盾する」と批判するのは歪曲記事と言わざるを得ません。
■ 朝日新聞が主張する内容
朝日新聞は該当する記事で次のように主張しています。
国家戦略特区で獣医学部をつくる事業者に学校法人・加計(かけ)学園が選ばれた経緯をめぐる政府側の説明が変化している。特区諮問会議(議長・安倍晋三首相)が、獣医学部の空白地域に限り新設を認めると条件を出したことで競合相手の京都産業大は応募を断念したが、政府側は最近になって「京産大は応募できた」などと説明している。過去の説明と矛盾し、一連の経緯をめぐる不透明感は増している。
「京都産業大学が応募する道が絶たれた」と思っているのは朝日新聞だけであることが記事の問題点です。当事者である京産大への取材が不十分であることは明らかですし、ワーキンググループの議事録を確認していないことも明らかだからです。
■ 朝日新聞によって切り捨てられた事実
1:京産大は「除外された」とは思っていない
朝日新聞は「2016年11月の諮問会議で京産大が除外された」と決めつけていますが、当事者である京都産業大学にそのような認識はありません。これは京産大の記者会見から明らかなことです。
ーー 昨年11月、国家戦略特区の諮問会議の方針で、「広域的に獣医師養成大学が存在しないところに限り新設可能」との条件が入ったが、この段階で駄目と思った訳ではないのか。
広域的の解釈は色々あるが、関西では大阪府立大学。我々の構想は綾部市で京都市ではないので、広域ということだけで対象外となったとは思っていなかった。
これは朝日新聞にとって致命的です。なぜなら、「広域的との文言があるから、競合相手の京都産業大は応募を断念した」と朝日新聞が勝手に決めつけているからです。これは完全な誤報と言えるでしょう。
2:「空白地域に限り」という条件はあるが、「1校のみ」との条件はない
朝日新聞の記事が悪質なのは2016年11月の時点で「加計学園に一本化された」と決めつけていることです。
なぜなら、その時点で確定していたことは「空白地域に限り、獣医学部設置を認める」というものです。これは “空白地域” に該当すれば、複数の大学が獣医学部を設置できるという意味です。
朝日新聞の主張が姑息なのは「獣医師会の要請で “1校のみ” となった後に、なぜ加計学園なのか」と質問したことへの回答を理由に「一本化された」と批判していることです。
時系列を無視して、意図的に切り貼りを行っていることは悪質と言えるでしょう。その上で “空白地域” の定義を勝手に解釈して批判をしているのです。
ワーキングループと当事者である京産大は「北陸・山陰地方は空白地域」との認識からブレたことはないという事実(PDF)を朝日新聞は完全に切り捨てていると断定できるでしょう。
3:両方を推せば、両方が落とされるリスクがある
朝日新聞は「なぜ、加計学園と京都産業大学の両方を推薦しなかったのか」と主張していますが、これは交渉をした経験を持っていれば、リスクの高いことと理解できるはずです。
相手側(文科省)には「既得権益を守りたい」という動機があり、両方の申請を拒否できれば、理想と言えます。もし、両方(加計と京産大)の認可を求められれば、どちらか一方の決定的なダメな点を理由に「両方の認可を与えることはできない」とする満額回答を手にすることができるからです。
特に、熟度の低い京産大の申請を理由にまとめて却下されることを懸念したのでしょう。国家戦略特区で確実に実績を残すために「まずは1校で妥協した」に過ぎないのです。
なぜなら、「1校しか容認できない」という挙証責任は文科省に存在する訳であり、それを証明できなければ、2校目・3校目が容認されることは火を見るよりも明らかだったからです。
昨年(2016年)11月に「京産大は対象外になった」と認識していたのは朝日新聞です。そのように勝手に解釈し、誤った認識で政府を批判したことを素直に認め、記事を撤回した上で当事者に謝罪すべきなのではないでしょうか。