専門家の「原発事故による影響はない」との結論を掲載した毎日新聞は社説で自らの立場を示すべき
坂村健氏が毎日新聞の連載記事で「福島第1原発事故による胎児への影響はない」と科学的根拠を基に主張しています。
反原発派の一角である毎日新聞に掲載されたことは画期的なことと言えるでしょう。ただ、坂村氏の意見のみを掲載しただけでは不十分であることは明らかです。
毎日新聞が社説という形で、自分たちの意見・見解を表明する必要があるからです。
報告書が対象としている東京電力福島第1原発事故については、既に多くの論文や調査結果などが蓄積されている。国連科学委員会の報告でも、放射能由来の公衆の健康リスクについて「今後もがんが自然発生率と識別可能なレベルで増加することは考えられない」と結論が出ている。
学術会議の報告でも、被ばく量はチェルノブイリ原発事故よりはるかに小さいという評価が改めて示されているが、特に不安の多い子どもへの影響に焦点を絞っている点が重要だ。「福島第1原発事故による胎児への影響はない」としており「上記のような実証的結果を得て、科学的には決着がついたと認識されている」とまで書いている。
(中略)
マスコミにも課題がある。不安をあおる言説を、両論併記の片方に置くような論評がいまだにあるが、データの足りなかった初期段階ならいざ知らず、今それをするのは、健康問題を語るときに「呪術」と「医術」を両論併記するようなもの、と思ったほうがいい。
1:科学的に決着が付いた事実をマスコミが認められるかが焦点
医学的に継続調査を行った結果、「子供・胎児への影響はない」と結論づけられているのです。これを否定できるのは同じく医学的根拠が提示された場合に限定されます。
「影響があるに違いない」というのは “個人の思い込み” に過ぎません。これを坂村氏は『呪術』と揶揄しているです。
物事に対する印象は個人によって千差万別です。しかし、科学や医学はデータを根拠としており、誰が分析しても同じ結論にたどり着くのです。これを伝えることはマスコミの責務と言えるでしょう。
自分たちが “最初に決めつけた結論” が間違っていたのであれば、素直にそのことを認めなければならないことは当然のことなのです。
2:後始末をせず、逃げ出すマスコミは害悪な存在である
マスコミが世間から信頼を失い続けている理由は「自らが報じた内容に対する責任を負うことから逃げ続けていること」が最も大きいと言えるでしょう。
原発事故では「危険がある」との初報を流しました。これはリスクがあることが懸念される中では可能性を指摘することは重要です。
ですが、「危険ではない」ことが確認されたり、可能性が少なくなったのであれば、アップデートした情報を流さなければなりません。この肝心な部分をマスコミはサボタージュしているのです。これでは信用を失って当然です。
「フクシマは危険」などと危険を煽るだけ煽り、その罪を償うこともしていないのが反原発派のマスコミなのです。他人の不幸で私服を肥やし続けるマスコミが信頼されなくなっているのは自業自得と言えるでしょう。
3:第三者に代弁してもらっている時点で言論機関とは言えない
マスコミは自分たちのことを言論機関と主張していますが、第三者に代弁してもらっている時点でその資格はないも同然です。
新聞社に対する批判を避けるための手法でしょうが、言論機関として情けないことです。“言論” で商売しているのですから、堂々と自分たちの主張を述べ、世間に訴えるべきでしょう。
坂村氏の見解に否定的であるなら、毎日新聞が署名付きの社説で反論すべきです。デマを流しっぱなしで責任を取らずに逃げることは決して許されないからです。
“物言えぬ空気” などという主張も失笑物です。無責任にデマを流せば、批判・反論されるのは当然です。自らの主張を一方的に展開できなくなったことを“物言えぬ空気” と誤魔化すような恥ずかしい姿勢は止めるべきでしょう。
毎日新聞は社説で原発報道に対する反省を書き、風評被害を助長してきた自らの報道の清算に乗り出すべきと言えるのではないでしょうか。