前川喜平氏などの「イージス・アショア1基で10万人分の奨学金がカバーできる」との主張には致命的な問題点がある
左派界隈が英雄視する前川喜平氏が「イージス・アショア1基で10万人分の奨学金がカバーできる」などと主張し、賛同者が現れています。
しかし、前川氏の主張内容には致命的な問題点が存在します。
問題に気づいていないなら、教育行政の事務方トップを務めたことは明らかに誤りです。また、問題点を知った上で隠しているなら、悪質なことと言えるでしょう。
■ 前川氏の主張内容
前川喜平氏は左派系労組で役職に就いている井上伸氏からのインタビューで、次のように語っています。
イージス・アショアは1基で700~800億円です。たとえば、来年度から本格実施される「給付型奨学金」は2万人が受け取ることになっていますが、イージス・アショアひとつで10万人ぐらいの奨学金がカバーできるのです。でも「イージス・アショアのために」と言うより、「教育の無償化のために」と言った方が国民受けが良いという思いつきに過ぎないと思います。
この主張に問題点があることを理解していないのは発言者として残念ことです。
また、取材をした井上氏は左翼的な立ち位置から、組合活動を行う雑誌編集者という肩書きがあります。そのため、左派にとって都合の悪いことは隠されている可能性があることを念頭に置いておかなければなりません。
■ 前川氏の主張に含まれた問題点
前川氏の主張する内容に含まれる問題点は「イージス・アショア(導入の)費用で奨学金がカバーできる」と言っているからです。
『導入費』が必要なのは初年度だけです。導入後は『運用費』が予算となるのです。当然、イージス・アショアの『運営費』は年間 700~800 億円ではありません。
家庭で例えると、次のようになるからです。
前川氏らの主張は「新車の購入費を学費に回せば、問題ない」というものと同じです。
初年度は『新車の購入費』(=イージス・アショアの導入費)で乗り切ることができるでしょう。しかし、2年目以降は『ガソリン代』などの運用費がメインとなる訳ですから、『新車の購入費』のような大きな支出は予算には入っていないのです。
そもそも、イージス・アショアは毎年導入し続けられるものではありません。なぜなら、イージス・アショア2基で日本全土をカバーできるからです。
したがって、「イージス・アショア導入」とは別に年間 700~800 億円の予算を確保し続けなければ、給付型奨学金の運営は成り立たないのです。
つまり、前川氏らの主張は「イージス・アショアの導入を断念すれば、1人あたり 70〜80 万円分の給付を10万口分も作ることができる」という表現が正しいものです。この10万口を1年で使い切ることができますし、2万5千口にして4年で使い切ることも可能だからです。
ただ、「期間限定の給付型奨学金」であることに変わりはなく、『根本的な対策』とは呼べないでしょう。
このような残念な提案しかできない人物が文科省の事務方トップを務め、「学習指導要領」の策定に携わっていたのです。学生がバカになるのは “やむを得ない” ことですが、残念な人物を称え続ける左派界隈は悲惨だと言えるのではないでしょうか。